不正領得の意思がないのに、詐欺罪として處斷した第二審判決を是認した原判決は、憲法第三一條に違反するという論旨は、再上告適法の理由とならない。
刑法各本條の解釋問題と不適法な再上告理由
刑訴應急措置法17條
判旨
刑法各則の解釈の誤りを主張することは憲法違反の主張には該当せず、また食糧配給制度自体も憲法に違反するものではない。
問題の所在(論点)
刑法の解釈適用の誤りを主張することが、最高裁判所大法廷で審理すべき憲法違反の主張に該当するか。また、当時の食糧配給制度が憲法に違反するか。
規範
刑法各条の解釈適用の誤りを主張することは、実質的に法律の解釈問題にすぎず、憲法違反の主張には当たらない。また、公序良俗や社会経済秩序の維持を目的とする食糧配給制度は、憲法に抵触するものではない。
重要事実
被告人が詐欺罪等の容疑で起訴され、有罪判決を受けた事案において、被告人側が上告を提起した。弁護人は、原審が詐欺罪に関する刑法の規定の解釈適用を誤ったこと、量刑が不当であること、および食糧の配給制度が憲法に違反していることなどを理由として、憲法違反を主張した。
あてはめ
弁護人の主張は憲法違反という語を用いているが、その実質は詐欺罪の構成要件の解釈という法律問題にすぎない。これを憲法違反と捉えると、刑法の解釈ミスが全て再上告理由となり大法廷での審理を要することになり不合理である。また、食糧配給制度については、既存の大法廷判例に照らし憲法違反ではないことが明らかである。量刑の不当性も憲法上の公平な裁判所の問題には当たらない。
結論
刑法解釈の誤りや配給制度の違憲性の主張はいずれも上告理由(憲法違反)に該当せず、本件再上告を棄却する。
実務上の射程
法令解釈の誤り自体を直ちに憲法違反(法の適正な執行の欠如)と構成して再上告することはできないとする。刑事訴訟における上告理由の峻別を示す実務上の先例である。
事件番号: 昭和24(れ)1159 / 裁判年月日: 昭和24年7月19日 / 結論: 棄却
憲法第二五條第一項の法意は、國家は國民一般に對して概括的に健康で文化的な最低限度の生活を營ましめる責務を負擔し、これを國政上の任務とすべきであるとの趣旨であって、この規定により、直接に個々の國民は國家に對して具體的現實的にかかる權利を有するものではないこと、當裁判所の判例(昭和二三年(れ)第二〇五號、同年九月二九日大法…