元來、公判手續の更新とは、公判の審理を最初から遣り直すことであつて、前回の公判の續行ではない。判決の基本となるのは、前回の公判の審理ではなく、更新後の公判の審理なのである。從つて更新前の公判手續に所論のような瑕疵があつたとしても、それは舊刑訴法第四一〇條第一〇號若しくは第一一號の場合に該當するものではない。されば、所論の違法は原判決に影響を及ぼさないことが明白である。
公判手續更新の意義と更新前の手續の瑕疵
舊刑訴法354條,舊刑訴法410條10號,舊刑訴法410條11號,舊刑訴法411條
判旨
必要的弁護事件において、弁護人不在のまま行われた公判手続に瑕疵があったとしても、その後に弁護人立会の下で公判手続が更新された場合には、当該瑕疵は判決に影響を及ぼさない。
問題の所在(論点)
必要的弁護事件において弁護人が欠けた状態で審理が行われた場合、その後に適法な手続更新がなされれば、前の公判手続の瑕疵は治癒されるか(判決に影響を及ぼさないか)。
規範
公判手続の更新とは、公判の審理を最初からやり直すことを意味し、前回の公判の続行ではない。判決の基本となるのは更新後の公判の審理であるため、更新前の手続に瑕疵があったとしても、更新後の審理が適法に行われれば、その瑕疵は判決に影響を及ぼさない。
重要事実
強盗被告事件(旧刑訴法下の必要的弁護事件)において、原審の第1回公判期日に弁護人が出頭しないまま審理が進行された。しかし、第2回公判期日には弁護人が立ち会い、その下で公判手続が更新された。被告人側は、第1回公判の瑕疵を理由に上告した。
事件番号: 昭和22(れ)331 / 裁判年月日: 昭和23年4月13日 / 結論: 棄却
一 該公判において爲された審理の範圍は上告理由書に書いてある丈けのこと(國籍登録手續をしたかどうか、日本の裁判權に服することに異議はないか、を訊ねたこと)で、犯罪の實體についての審理は何も爲されて居ない。而して第二回の公判においては辯護人立曾の上被告人の人違でないかどうかの點を初めとし、犯罪の實體に付き完全な手續を以て…
あてはめ
本件では、第1回公判期日に弁護人不在という手続上の違法があったことは認められる。しかし、第2回公判期日において弁護人立会の下で公判手続が更新されており、判決の基礎となるのはこの更新後の審理である。また、証拠の採用についても更新後の公判廷における被告人の供述自体が引用されており、瑕疵のある第1回公判調書が証拠とされたわけではない。したがって、当初の違法は判決に影響を及ぼさないことが明白である。
結論
公判手続の更新が適法に行われた以上、従前の手続的瑕疵は判決に影響を及ぼさず、上告理由とはならない。
実務上の射程
必要的弁護事件(現行法289条1項)や構成裁判官の変更による更新(現行規則213条)の場面で、更新前の手続的違法が判決の正当性に影響するかを検討する際に用いる。更新による瑕疵の治癒・遮断効果を示す準則として活用できる。
事件番号: 昭和34(あ)48 / 裁判年月日: 昭和34年5月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】必要的弁護事件において、国選弁護人の選任が控訴趣意書の提出期限後となったとしても、弁護人が期限の延長を求めず公判で弁論を行い、被告人の権利行使が実質的に妨げられていないのであれば、直ちに憲法及び刑訴法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は必要的弁護事件で起訴され、控訴審において原裁判所からの弁…
事件番号: 昭和23(れ)1480 / 裁判年月日: 昭和24年2月1日 / 結論: 棄却
(國選)辯護人の選任書の原本は辯護人に交付し、その案を記録に編綴して置くのであるから、本件記録に編綴されている前示選任書の案に裁判長の捺印がないのは當然で、それがために選任書の原本に裁判長の捺印がなかつたものと言うことはできないのみならず、同辯護人は右選任によつて右公判期日の延期を求むることなく原審公判に終始異義なく立…