從來審理に關與しなかつた裁判官が、判決の言渡に關與しても何ら違法ではない。
審理に關與しない裁判官による判決言渡の適否
舊刑訴法354條
判旨
判決は口頭弁論に基づいてなされるものであり、言渡しは単なる告知方法にすぎないため、言渡し期日に判事の更迭があったとしても直ちに更新手続は必要なく、適法に言い渡すことができる。また、犯行の動機や主犯的立場の有無などは刑の量定資料にすぎず、証拠調べの程度や範囲は裁判所の裁量に属する。
問題の所在(論点)
1. 判決言渡し期日に審理未関与の判事が列席することが、判決手続として適法か。 2. 犯行の動機や共犯者内の役割といった情状に関する事実の審理不十分、および証拠調べの不実施が上告理由となるか。
規範
判決の言渡しは告知方法にすぎず、判決の基礎となる口頭弁論に関与した判事が署名すべきである。判決の宣告にあたり判事の更迭があった場合でも、必ずしも公判手続を更新することを要しない。また、罪となるべき事実以外の情状に関する事項(動機や主犯的立場等)の審理の程度、及び証拠調べの要否は、事実審裁判所の合理的な裁量に委ねられる。
重要事実
被告人が被害者を脅迫した事実に関し、原判決の署名判事と、言渡し期日の公判調書に記載された列席判事の一部が異なっていた。具体的には、口頭弁論に関与した判事が署名したが、言渡し期日には審理に関与していなかった判事大曲壮次郎が列席していた。また、被告人側は、犯行の動機や共同正犯間の主犯的立場の審理が不十分であること、及び共犯者の取調べを行わなかったことを違法として上告した。
あてはめ
1. 判決の本質は口頭弁論に基づく判断であり、署名が口頭弁論に関与した判事によってなされている以上、言渡し期日の判事更迭は適法である。 2. 動機や主犯的立場は「罪となるべき事実」ではなく量刑資料であり、その審理の程度は裁量の範囲内である。本件において経験則に反するような裁量権の逸脱は見出せず、被告人が請求していない証人の取調べを行わなかったことも裁判所の裁量権の範囲内である。
結論
原判決に手続上の違法はなく、証拠調べ等の裁量権の行使も適法であるため、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟法における「判決の宣告」と「判決の形成」を区別する。言渡し手続の瑕疵が直ちに判決の違法とはならないこと、および情状事実の審理範囲が裁判所の広範な裁量に属することを確認する際の根拠となる。ただし、現代の刑事訴訟法下では更新手続の規定(315条等)の適用範囲に注意を要する。
事件番号: 昭和24(れ)932 / 裁判年月日: 昭和24年6月18日 / 結論: 棄却
檢事の附帶控訴の制度は、その立法政策上の當否論は別とし、憲法違反でないことは既に當裁判所の判例とするところである。(昭和二三年(れ)第二二四號同年一一月二四日大法廷判決)
事件番号: 昭和24新(れ)538 / 裁判年月日: 昭和25年9月7日 / 結論: 棄却
第一審判決の量刑の不當を理由として右判決を破毀し、刑の量定をやりなおした原審においては、第一審の認定した犯罪事實並びにその認定手續については亳も爭がなく、かつ原判決は第一審判決の確定した事實を基礎としたものであるから、原判決は、第一審判決の認定したと同一の事實、並びに證據を引用したものと解することができる。