原判決書は辯論終結後判決言渡迄の間に作成されたものであることが明かであるから、その日附(同年一月三〇日)が所論のように判決言渡の日と異つて居ても、何ら違法ではなく、論旨は理由がない。
作成の日附が言渡期日と異る判決書の正否
舊刑訴法66條,舊刑訴法67條,舊刑訴法71條1項,舊刑訴法60條2項1號
判旨
共謀の成立には、犯行の具体的な内容や目的を詳細に把握していること、あるいは利得の多寡は必ずしも必要ではなく、犯罪の実行を合意し、それを遂行する意思が認められれば足りる。また、公判廷における自白は補強証拠を要する「本人の自白」には当たらない。
問題の所在(論点)
1.犯行の詳細な認識や利得の分配の有無は、共謀の成立を否定する根拠となるか。 2.公判廷における被告人の自白は、憲法38条3項の補強証拠を必要とする「自白」に含まれるか。
規範
1.共謀の成立について、動機のいかん、現場に至るまで具体的な窃取対象を特定的に認識していなかったこと、あるいは事後の利得分配が少額であったことは、共謀の認定を直ちに左右するものではない。 2.憲法38条3項にいう「本人の自白」とは、公判外の自白を指し、裁判官の面前でなされる公判廷での自白はこれに含まれない(昭和23年7月29日大法廷判決参照)。
重要事実
被告人Aは、共犯者らと窃盗(予審段階では強盗)を敢行したとして起訴された。Aは上告審において、①自身が現場に至るまで具体的にどこから何を盗むか知らなかったこと、②利得の分配が少なかったこと等を理由に、共謀の事実を否定した。また、被告人Bについては、公判廷での自白のみに基づき有罪とされたことが補強証拠を欠き違憲であると主張された。
あてはめ
1.被告人Aが犯行に加わった動機や、具体的な窃取対象の不知、利得分配の少なさは、記録上の共謀の事実を覆すには足りない。A自身が公判廷において、強取の意思は否定しつつも「事実は大体その通り」と述べ、共犯者らの供述とも合致することから、窃盗の共謀は認められる。 2.被告人Bの自白については、公判廷における自白であるから、補強証拠がなくともそれ自体で有罪判決の基礎とすることが可能である(旧刑事訴訟法下における解釈)。
結論
1.共謀の成立は妨げられず、窃盗罪としての有罪認定は妥当である。 2.公判廷での自白に補強証拠は不要であり、違憲・違法の主張は理由がない。
実務上の射程
共謀の主観的態様について、概括的な認識があれば足りることを示す例証として有用。ただし、自白の補強法則(憲法38条3項)に関する判旨については、現行刑事訴訟法319条2項が「公判廷における自白」も含めて補強証拠を必要としているため、実務上の射程は現行法下では失われている点に注意が必要である。
事件番号: 昭和24新(れ)184 / 裁判年月日: 昭和25年2月7日 / 結論: 棄却
論旨第一點は、原判決が本件犯罪事實中の共謀の點につき被告人の自白のみを證據にしたのは憲法第三八條第三項および刑事訴訟法第三一九條第二項違反である。と非難する。なるほど第一審判決の舉げた證據中共謀の點の證據は被告人の自白以外にはないが、しかし、犯罪事實の一部については本人の自白以外に認定資料がない場合でも、舉示の證據を綜…