一 被告人は昭和二一年五月六日勾留せられ、同月二九日保釋せられたことは記載上明白である。從つて右勾留による拘禁は、日本國憲法施行以前に既に終了したのであるから、右拘禁を以て、日本國憲法第三四條に反するものと主張する論旨は、憲法に遡及の効果を認めんとするものであつて、法律上、根據のないところである。 二 勾留處分の違法不當に對しては、別途に救濟の方法によるべきであつて、右は第二審判決に影響を及ぼさないこと明白であるから、これをもつて、上告または再上告の理由とすることはできない。(昭和二三年(れ)第六五號事件、同年七月一四日宣告大法廷判決參照)。
一 新憲法施行前に終了した拘禁と憲法第三四條 二 勾留の違法と上告理由
憲法34條,刑訴法411條
判旨
勾留処分の違法は、それ自体が被告事件の判決に影響を及ぼすものではないため、控訴または上告の理由にはならない。勾留の不当に対しては、準抗告などの別途の救済手段によるべきである。
問題の所在(論点)
勾留処分の違法・不当が、刑事訴訟法上の控訴理由または上告理由(判決に影響を及ぼすべき法令の違反)に該当するか。
規範
勾留処分の違法不当は、被告事件の有罪・無罪等の実体的な審理の結果である第二審判決に直接の影響を及ぼさない。したがって、勾留の違法を理由として判決の取り消しを求めることはできない。
重要事実
被告人は昭和21年5月6日に勾留され、同月29日に保釈された。被告人は、この勾留による拘禁が憲法34条(抑留・拘禁の理由開示等)に反すると主張して、第二審判決に対する上告を申し立てた。
あてはめ
本件において、被告人の勾留は日本国憲法施行前に終了しており、憲法の遡及適用を認めるべき根拠はない。また、仮に勾留処分に違法不当があったとしても、それは被告事件の構成事実の存否や量刑といった第二審判決の内容に影響を及ぼさないことが明白である。かかる手続上の瑕疵については、準抗告等の別途用意された救済方法によるべきであり、上告理由として構成することはできない。
結論
勾留処分の違法は上告理由とならないため、本件上告を棄却する。
実務上の射程
捜査段階や公判中の「勾留」という強制処分の瑕疵は、原則として「判決に影響を及ぼすべき法令の違反」には当たらないとする。違法捜査と公訴棄却等の議論を除き、手続的瑕疵と実体判決を切り離す実務上の基本的な考え方を示すものである。
事件番号: 昭和27(あ)418 / 裁判年月日: 昭和28年6月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】食糧の供出割当が過重又は違法であるとの主張は、実質的に事実誤認又は法令違反の主張に帰着し、適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人は昭和23年度の食糧供出割当を受けたが、当該割当が過重であり違法であると主張して上告した。被告人はこの主張を憲法違反として構成したが、実態としては行政処分…