原審は其舉示の證據に基いて被告人は單に屋外に佇立して居ただけではなく見張をして居たものと認定したのである。而して數人が強盗の實行を共謀し、そのうち一人が屋外の見張りを擔當した場合には、その者についても強盗の共同正犯が成立することは當裁判所の判例とするところである(昭和二二年(れ)第二三五號昭和二三年三月一六日第三小法廷判決)。
強盗の見張りと強盗の共同正犯
刑法236條,刑法60條
判旨
数人が強盗の実行を共謀した際、そのうち一人が屋外で見張りを担当したにすぎない場合であっても、強盗罪の共同正犯が成立する。
問題の所在(論点)
強盗の共謀に基づき、屋外で見張りを担当したにすぎない者について、刑法60条の共同正犯が成立するか。
規範
特定の犯罪を遂行する意思で共謀し、その計画に基づいて役割分担がなされた場合、実行行為を直接分担しない者であっても、他の共犯者の行為を自己の手段として犯罪を行ったといえる。したがって、見張り行為は犯罪の実行を容易にし、かつ自己の犯罪としてこれに加担する性質を有するため、共同正犯としての責任を負う。
重要事実
被告人らは、軍の放出物資や隠匿物資を摘発すると称して強盗を行うことを共謀した。実行に際し、被告人の一人は屋内に侵入して強奪行為を直接行うのではなく、屋外に佇立して「見張り」を担当していた。弁護人は、単なる屋外の佇立にすぎず実行行為がないと主張して上告した。
あてはめ
本件において、被告人は単に屋外に居合わせただけでなく、共謀に基づき「見張り」という重要な役割を分担していた。この見張り行為は、強盗という犯罪を実現するための一環として行われたものであり、他の共犯者による強取行為を心理的・物理的に支えるものである。たとえ被告人自身が暴行・脅迫や財物の奪取を直接行っていないとしても、共謀に基づく役割分担としての見張りを行っている以上、強盗罪を共同して実行したと評価するのが相当である。
結論
屋外の見張りを担当した者についても、強盗罪(刑法236条1項)の共同正犯が成立する。
実務上の射程
共謀共同正犯および役割分担がある場合の実行共同正犯の成否を論じる際の基礎となる判例である。「見張り」が実行行為の一部、あるいは共謀に基づく重要な寄与にあたることを示す際に活用できる。現場共犯において実行行為の分担が軽微な者の処断において不可欠な視点である。
事件番号: 昭和23(れ)356 / 裁判年月日: 昭和23年7月3日 / 結論: 棄却
數名のものが強盜の共謀をしてその内一名が屋外の見張りを擔當し他のものが強盜の實行行爲をした場合には、その見張りをした者についても強盜の共同正犯が成立することは、既に當裁判所の判例とするところである。(昭和二三年三月一六日言渡昭和二二年(れ)第二三五號事件判決)
事件番号: 昭和23(れ)154 / 裁判年月日: 昭和23年5月6日 / 結論: 棄却
一 本件上告人から判示強盗罪の外この手段的經過事實に對し、更に住居侵入罪の成立を主張し、その法律適用を請求する本論旨は、結局自己の不利益の爲原判決の破毀を求めるものに外ならないから、被告人の利益の爲にする本件上告適法の理由とならない。 二 公判調書に引用された他の書類の記載と相俟つて被告人が公判廷で判示同趣旨の供述をし…