一 本件上告人から判示強盗罪の外この手段的經過事實に對し、更に住居侵入罪の成立を主張し、その法律適用を請求する本論旨は、結局自己の不利益の爲原判決の破毀を求めるものに外ならないから、被告人の利益の爲にする本件上告適法の理由とならない。 二 公判調書に引用された他の書類の記載と相俟つて被告人が公判廷で判示同趣旨の供述をしたことが明らかな場合、判決で、その供述を證據として採用するに當つては、右引用の書類を特に舉示しないでも差支えない。
一 被告人に不利益な主張上告理由 二 公判調書に引用された他の書類と相俟つて被告人が公判廷で判示同趣旨の供述をしたことが明らかな場合の證據説明
刑訴法376條,刑訴法360條1項
判旨
共謀に基づく犯罪の実行において、共謀者の一部が直接の実行行為を分担せず見張り行為のみを行った場合であっても、強盗罪の正犯(共謀共同正犯)としての責任を負う。
問題の所在(論点)
共謀に参加した者が、現場で「見張り」という補助的な行為のみを行い、直接の実行行為(暴行・脅迫や財物奪取)を分担していない場合に、強盗罪の正犯(刑法60条)としての責任を負うか。
規範
数人が特定の犯罪を遂行するために共謀したときは、たとえそのうちの一人が実行行為を直接分担しなかったとしても、共謀に基づく他の者の行為について正犯としての責任を免れない。
重要事実
被告人は、他の共犯者2名とともに拳銃強盗を行うことを共謀した。実行当日、被告人は強盗現場において屋外で見張りを行い、他の共犯者が家屋内に押し入って強盗を実行した。原審は、被告人が直接の強取行為に関与していないものの、見張り行為をもって強盗罪の正犯として処断したため、被告人側がこれを不当として上告した。
事件番号: 昭和23(れ)425 / 裁判年月日: 昭和23年7月22日 / 結論: 棄却
一 日本刀を携帯して強盗することを共謀し、その見張をした者は、その日本刀を嘗て手にしたことがなくても、銃砲等所持禁止令違反の共同正犯である。 二 數人が強盜の實行を共謀し、そのうち一人が屋外の見張りをしただけであつても、他の共犯者の實行行爲を介して自己の犯罪敢行の意思を實現したものと認められる場合には、なお強盜の共同正…
あてはめ
被告人は、他の共犯者2名との間で拳銃強盗を行うという意思の合致(共謀)を有していた。この共謀に基づき、被告人は現場において屋外で見張りという役割を果たしている。このような見張り行為は、共謀に基づき犯罪を共同して遂行する意思で行われたものであり、直接の実行行為を分担していないことは正犯の成立を妨げるものではない。したがって、被告人の行為に対して強盗罪の正犯の規定を適用した原判決は正当である。
結論
共謀者の一人が実行行為を全く分担しなかった場合でも、共謀共同正犯として強盗正犯の責めを負う。したがって、見張り行為のみを行った被告人を強盗正犯とした原判決に違法はない。
実務上の射程
共謀共同正犯の成立を認めた初期の重要判例である。答案上は、(1)共謀、(2)共謀に基づく実行、(3)正犯意思(自己の犯罪として行う意思)の要件を検討する際、現場で補助的行為(見張り等)しかしていない被告人の正犯性を基礎づける根拠として引用する。
事件番号: 昭和23(れ)212 / 裁判年月日: 昭和23年5月25日 / 結論: 棄却
原審は其舉示の證據に基いて被告人は單に屋外に佇立して居ただけではなく見張をして居たものと認定したのである。而して數人が強盗の實行を共謀し、そのうち一人が屋外の見張りを擔當した場合には、その者についても強盗の共同正犯が成立することは當裁判所の判例とするところである(昭和二二年(れ)第二三五號昭和二三年三月一六日第三小法廷…
事件番号: 昭和24(れ)2210 / 裁判年月日: 昭和25年1月19日 / 結論: 棄却
強盜の共謀をした者はたとい自ら暴行脅迫強取等の強盜等行爲を分擔しなくても、他の共謀者がした右強盜等行爲によつて自己の犯罪遂行の意志を實現したものと認められる以上なお共同正犯としての罪責を免れる事のできないものであることは常裁判決屡次の判決に示すとおりであるからたとい被告人において右強盜行爲を分擔しなかつたとしても判示の…