第二審公判で公判請求書を讀み聞かせていないのに右請求書記載の犯罪事實は相違なき旨の第一審公判調書中の被告人の供述記載を證據としてこれを認定した判決は違法である。
公判請求書の記載を引用した公判調書の證據調の方法
刑訴法340條
判旨
適法な証拠調べを経ていない盗難届及び被告人供述録取書を事実認定の証拠に引用することは違法であり、破棄事由となる。
問題の所在(論点)
公判期日において適法な証拠調べを経ていない書面を判決の証拠に引用することの可否、および内容が特定されない供述記載を含む公判調書の証拠調べの適法性。
規範
裁判所は、公判期日において適法な証拠調べが行われていない資料を、事実認定の基礎となる証拠として引用してはならない。特に、前審の公判調書を証拠とする際、引用元となる書面(公判請求書等)の内容を読み聞かせる等の措置を欠き、供述内容が特定されない場合は、適法な証拠調べがなされたとは認められない。
重要事実
被告人が窃盗等の罪に問われた事案。原判決(控訴審)は、事実認定の証拠として「盗難届」および「第一審公判調書」を引用した。しかし、記録上、盗難届については原審の公判で証拠調べが行われた形跡がなかった。また、第一審公判調書には「被告人が公判請求書記載の犯罪事実を認めた」旨の記載があったが、原審において当該公判請求書を読み聞かせる等の手続が行われておらず、供述内容が不明確な状態であった。
あてはめ
まず、盗難届については公判調書の記載から証拠調べの実施が否定されるため、これを証拠に引用することは違法である。次に、第一審公判調書については、被告人が認めたとする「犯罪事実」の具体的内容が公判請求書の読み聞かせによって特定されていない以上、供述の対象が不明である。このような不透明な状態での引用は、適法な証拠調べが行われたとは評価できず、証拠裁判主義の観点から許されない。
結論
適法な証拠調べを欠く盗難届及び第一審公判調書を証拠に引用して事実を認定した原判決には、判決に影響を及ぼすべき法令違反があるため、破棄を免れない。
実務上の射程
証拠裁判主義(刑訴法317条)および公判中心主義の徹底を説く基本判例である。答案上は、証拠調べ手続の瑕疵が事実認定の違法に直結する場面で使用する。特に「読み聞かせ」等の手続を欠いたことによる供述内容の不特定が、証拠調べの適法性を否定する根拠となる点は重要である。
事件番号: 昭和24(れ)2483 / 裁判年月日: 昭和25年2月9日 / 結論: 棄却
原判決が各窃盜の事實を認定する證據中に所論の窃盜被害追加届を舉示していること及び論旨に指摘の昭和二四年四月二六日の原審第二回公判調書中の記載部分に「各盜難被害届」「盜難被害品追加届」の記載は存在するが所論の盜難被害追加届の記載が存しないことは所論のとおりである。しかし所論の盜難被害追加届に「…盜まれた品物は一、イデ…ン…