短刀であると小刀であるとを問わず刄渡り十五糎以上のものの所持は凡て銃砲等所持禁止令に違反するものと解することを相當とするから同令に違反するのは短刀の場合で小刀の場合は含まないという論旨の理由がない。
銃砲等所持禁止令第一條にいわゆる刀劍類の範圍
銃砲等所持禁止令1條,銃砲等所持禁止令施行規則1條3號
判旨
銃砲等所持禁止令の規制対象について、短刀か小刀かの種類を問わず、刃渡り15センチメートル以上の刃物の所持はすべて同令に違反する。
問題の所在(論点)
銃砲等所持禁止令における所持禁止対象の範囲、特に「短刀」や「小刀」といった種別によって、刃渡り15センチメートル以上の刃物の規制適否が左右されるか。
規範
銃砲等所持禁止令の適用に関し、刃物の具体的な名称(短刀、小刀等)にかかわらず、刃渡りが15センチメートル以上である場合には、一律に同令の禁止する所持に該当する。
重要事実
被告人は、刃渡り17.5センチメートルの短刀を所持していた。被告人は、当該所持が業務上の必要に基づくものであると主張したが、原審は、単に賭場で金の無心をするための用意として所持していた事実を認定した。被告人は、当該刃物が規制対象外である旨等を主張して上告した。
事件番号: 昭和23(れ)1195 / 裁判年月日: 昭和23年12月2日 / 結論: 棄却
論旨は、諸般の事情を縷々陳述して、原審の科刑情状に比して重きに過ぎる所以を説き、被告人に對しては罰金刑又は執行猶豫の言渡を爲すべきであると主張するのである。しかし、假りに所論のような事情があつたとしても、原審が判示犯行を認定して、被告人に對し懲役六月の實刑を言渡したことをもつて違法であると速斷することはできない。
あてはめ
本件で被告人が所持していた刃物は、原審において現物に基づき刃渡り17.5センチメートルと認定されている。同令の趣旨は危険な刃物の所持を広く規制することにある。したがって、その名称が短刀であるか小刀であるかという形式的な区別は重要ではなく、刃渡りが15センチメートル以上という客観的な基準を満たす以上、同令の禁止対象に含まれると解するのが相当である。
結論
短刀か小刀かを問わず、刃渡り15センチメートル以上のものの所持はすべて銃砲等所持禁止令に違反する。
実務上の射程
法令が定める数値基準(刃渡り等)がある場合、文言上の形式的な種別(刀剣の呼称)よりも、実質的な殺傷能力の指標となる数値を重視して規制範囲を画定する判断を示している。特別法犯の構成要件解釈において、客観的数値を備えた対象を網羅的に含むとする解釈手法として参照し得る。
事件番号: 昭和26(れ)890 / 裁判年月日: 昭和26年9月6日 / 結論: 棄却
そして、銃砲等所持禁止令施行規則又は鉄砲刀剣類等所持取締令に「刃渡」とは棟区(むねまち、すなわち刀身の峰部の柄の窪みの箇所)と・子(ぼうし、すなわち切先)とを直線で測つたものをいうものと解するを相当とする。
事件番号: 昭和32(あ)2599 / 裁判年月日: 昭和36年3月7日 / 結論: 破棄差戻
指揮刀であつても、「刀」としての実質(鋼質性材料をもつて製作された刃物又は或る程度の加工により刃物となりうるものであること)をそなえないものは、銃砲刀剣類等所持取締令第一条にいわゆる「刀剣類」にあたらない。
事件番号: 昭和30(あ)2488 / 裁判年月日: 昭和31年2月9日 / 結論: 棄却
鉄砲刀剣類等所持取締令第二条違反の罪は刃渡一五センチメートル以上の刀を同条所定の除外事由なくして所持することによつて成立するのであり、犯人が主観的に如何なる使用目的を有していたかはその成立を左右するものではない。
事件番号: 昭和24(れ)255 / 裁判年月日: 昭和24年6月28日 / 結論: 破棄差戻
按ずるに原判決は本件拳銃の「主要部分の不足、破損あるにおいては彈丸發射の機能を有しないものといわなければならない從つて右拳銃は銃砲等所持禁止令第一條同令施行規則第一條にいわゆる銃砲に當らない」と判示しただけで判示拳銃は容易に修繕し得るものなりや否やの點について判斷を示していない、思うに原審においては犯行當時所持していた…