一 刑訴応急措置法附則第四項は、憲法第一四条に違反しない。 二 訴訟法は訴訟手続に關する法規であつて犯罪行爲に適用すべき實体法規ではないから訴訟法上の行爲たる上告の理由についても現實に上告手続をなすべき時に着目して規定を設けるのが當然であつて、犯罪行爲の時如何により區別を設けねばならぬ理由がないことは當裁判所の判例とするところである。(昭和二四年三月二三日言渡、同二三年(れ)第一二二一號大法廷判決参照)從て或犯罪行爲が起訴せられた後に審級制度に變更があり又は上告理由が制限されても別段憲法違反の問題を生じないのである。それ故上告の理由は起訴の時に行はれていた法律によつて定められるべきであるということを前提として刑訴應急措置法第一三條第二項が憲法第三一條に違反するという論旨は理由がない。
一 刑訴応急措置法附則第四項と憲法第一四条 二 刑訴應急措置法第一三條第二項と憲法第三二條
刑訴応急措置法附則4項,憲法14条,憲法32條,刑訴應急措置法13條2項
判旨
訴訟手続に関する法規は実体法ではなく、上告理由の範囲等の審級制度は立法政策に委ねられるため、起訴後に上告理由を制限する法改正がなされても憲法31条や14条に違反しない。
問題の所在(論点)
起訴後に法律が改正され、上告理由が制限されることが、憲法31条の適正手続の保障や憲法14条の法の下の平等に反しないか。
規範
訴訟法は訴訟手続に関する法規であって、犯罪行為に適用すべき実体法規ではない。したがって、上告理由の範囲等の審級制度の設計は立法政策に属する事項であり、現実の上告手続時を基準として規定を設けることが原則である。同種の一群の事件を一定の基準(弁論終結時等)で一律に扱う限り、特定の属性に基づく差別ではないため、憲法14条にも違反しない。
重要事実
被告人が昭和21年6月に起訴され、事件が第二審に係属中、日本国憲法及び刑訴応急措置法が施行された。旧刑事訴訟法下では量刑不当を理由とする上告が可能であったが、新法(刑訴応急措置法13条2項)により当該上告理由が制限された。昭和22年6月に第二審判決を受けた被告人は、起訴後に上告理由が制限されることは憲法31条(適正手続)及び14条(平等権)に違反すると主張して上告した。
あてはめ
まず、憲法31条について検討するに、訴訟法は実体法とは異なり、手続時に着目して適用されるべきものである。審級制度の権限範囲は立法政策の問題であり、起訴後に上告理由が制限されたとしても、適正な手続を保障する憲法31条に違反するものではない。次に、憲法14条について検討するに、同法附則は弁論終結の時を標準として旧法と新法の適用を区別しているが、これは同種の一群の事件を団として平等に扱っている。この区別は人種、信条、性別、社会的身分等による差別ではないため、法の下の平等に反しない。
結論
起訴後の法改正による上告理由の制限は、憲法31条および14条に違反しない。
実務上の射程
刑事訴訟手続の不遡及原則(実体法における罪刑法定主義との違い)を確認する際に有用である。特に審級制度の設計が広範な立法裁量に属すること、および手続規定の変更が直ちに憲法違反とはならないことを論証する際の根拠となる。
事件番号: 昭和26(あ)1130 / 裁判年月日: 昭和26年9月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者間に量刑上の差異が存在することや、被告人側から見て量刑が不公平であると感じることは、憲法14条(法の下の平等)や憲法37条1項(公平な裁判所の裁判を受ける権利)の違反を構成しない。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者との間で量刑に差異があること等を不服とし、これが憲法14条の「法の下の平等」…