甲の乙に対する訴訟の係属後にされた甲の丙に対する訴訟を追加して提起する旨の申立ては、両訴訟につき民訴法五九条所定の要件が具備する場合であつても、乙に対する訴訟に当然に併合される効果を生ずるものではない。
いわゆる訴えの主観的追加的併合の許否
民訴法59条,民訴法132条
判旨
既存の訴訟の係属後に、別個の被告に対する請求を追加的に併合して一個の判決を得ることは、明文の規定がないため認められない。追加を希望する者は、新訴を提起した上で口頭弁論の併合を促すべきであり、新訴としての手数料納付が必要となる。
問題の所在(論点)
既存の訴訟の係属後に、新たな被告に対する訴えを追加的に併合(主観的追加的併合)することが、明文の規定がない中で許されるか。また、その場合に新訴としての手数料納付が必要か。
規範
既存の訴訟(旧訴訟)の係属後に、第三者を被告とする請求(新訴)を追加して一個の判決を得ようとする、いわゆる「追加的共同訴訟(主観的追加的併合)」は、明文の規定がないため認められない。これを認めれば、旧訴訟の訴訟状態の利用可否が不明確であり、訴訟の複雑化や遅延、濫訴を招くおそれがあるからである。したがって、新訴は独立した別訴として提起し、裁判所による口頭弁論の併合(民事訴訟法152条、旧132条)を促すべきであり、当然に併合される効果は認められない。
重要事実
上告人(原告)は、Dを被告として提起した訴訟(旧請求)の係属中に、被上告人(丙)を被告とする本件訴えを旧請求に「追加的に併合」する形で提起した。上告人は、両請求が共同訴訟の要件(民事訴訟法38条、旧59条)を満たし、経済的利益も共通していることから、追加的併合は許容され、本件訴えにつき新たな手数料の納付は不要であると主張して、手数料納付命令に応じなかった。
あてはめ
本件において上告人が行った訴えの追加は、明文の規定に基づかない「追加的併合」を求めるものである。仮に共同訴訟の要件を具備する場合であっても、当然に併合される法的根拠はなく、訴訟経済の観点よりも訴訟の複雑化や遅延といった弊害が優先される。したがって、本件訴えは独立した新訴としての性質を失わず、訴訟の目的の価額に応じた手数料の納付義務が生じる。上告人がこの納付に応じない以上、当該訴えは不適法といわざるを得ない。
結論
主観的追加的併合は認められず、本件訴えは独立した別訴として手数料の納付が必要である。これを怠った本件訴えは不適法であり、却下を免れない。
実務上の射程
主観的追加的併合を否定するリーディングケースである。答案上は、訴えの変更(143条)や共同訴訟(38条等)の論脈で、被告の追加が認められない根拠として引用する。実務上の手当てとしては、別訴提起後の弁論併合(152条)によるべきことを付言する。
事件番号: 昭和40(オ)1334 / 裁判年月日: 昭和42年6月1日 / 結論: 破棄差戻
二審において、全部勝訴した当事者が、判示の記載のような請求の趣旨の拡張の申立をしたときには、実質的に附帯控訴の申立をしたものと解することができる。