一 国家賠償法一条一項の規定に基づく損害賠償請求に憲法二九条三項の規定に基づく損失補償請求を予備的、追加的に併合することが申し立てられた場合において、右予備的請求が、主位的請求と被告を同じくする上、その主張する経済的不利益の内容が同一で請求額もこれに見合うものであり、同一の行為に起因するものとして発生原因が実質的に共通するなど,相互に密接な関連性を有するものであるときは、右予備的請求の追加的併合は、請求の基礎を同一にするものとして民訴法二三二条の規定による訴えの追加的変更に準じて許される。 二 国家賠償法一条一項の規定に基づく損害賠償請求に、憲法二九条三項の規定に基づく損失補償請求を控訴審において予備的、追加的に併合するには、相手方の同意を要する。
一 国家賠償法一条一項に基づく損害賠償請求に憲法二九条三項に基づく損失補償請求を予備的・追加的に併合することが許される場合 二 国家賠償法一条一項に基づく損害賠償請求に憲法二九条三項に基づく損失補償請求を控訴審において予備的・追加的に併合する場合の相手方の同意の要否
民訴法227条,民訴法232条,憲法29条3項,国家賠償法1条1項,行政事件訴訟法第3章当事者訴訟
判旨
控訴審において、国家賠償請求に公法上の損失補償請求を予備的に追加する訴えの変更は、請求の基礎を同一にするものとして認められるが、相手方の審級の利益を考慮し、相手方の同意を要する。
問題の所在(論点)
民事訴訟である国家賠償請求訴訟において、公法上の請求である損失補償請求を控訴審で追加的併合(訴えの変更)をすることの可否、およびその要件が問題となる。
規範
民事訴訟(国家賠償請求)に公法上の請求(損失補償請求)を追加する場合、両請求の被告が同一であり、かつ請求の基礎(民事訴訟法232条、現143条1項)を同一にするときは、訴えの追加的変更が可能である。ただし、公法上の請求は行政訴訟手続で審理されるべき性質を有するため、控訴審における追加には、相手方の審級の利益を保護する観点から相手方の同意を要する。
重要事実
上告人(旅館経営者等)は、被上告人によるダム設置運営により景観享受権等が侵害されたとして、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を請求した。控訴審において、上告人はさらに憲法29条3項に基づく損失補償請求を予備的に追加することを申し立てた。被上告人はこの追加を不適法として却下を求め、同意しなかった。
あてはめ
本件の両請求は、同一の被告に対し金銭給付を求めるものであり、主張する不利益の内容や発生原因が実質的に共通しているため、請求の基礎の同一性は認められる。しかし、損失補償請求は公法上の請求であり、本来は行政訴訟として審理されるべきものである。控訴審でこれを追加することは相手方の審級の利益を損なう恐れがあるため、相手方の同意が必要である。本件では、被上告人は却下を求めており、同意があるとは認められない。
結論
控訴審における損失補償請求の追加は、相手方の同意がないため許されず、不適法として却下すべきである。
実務上の射程
民事訴訟と行政訴訟の客観的併合(特に訴えの変更)に関する重要判例である。請求の基礎の同一性を広く認める一方で、控訴審における審級の利益の保護を理由に相手方の同意を厳格に要求する。答案上は、公法上の請求を民事訴訟に併合する際の適法性の要件を論じる際に用いる。
事件番号: 昭和40(オ)1078 / 裁判年月日: 昭和46年4月21日 / 結論: 棄却
不動産登記法一〇五条一項は、憲法二九条に違反しない。