養子縁組の当事者の一方の提起した離縁無効確認の訴えは、その縁組が無効であるとの主張が認められた場合であつても、訴えの利益を失わない。
縁組が無効であるとの主張と離縁無効確認の訴えの利益
民訴法225条,人事訴訟手続法24条
判旨
戸籍上の離縁記載が真実と異なる場合、当事者は離縁無効確認判決により戸籍を訂正する利益を有し、前提となる縁組が無効であったとしても、離縁無効確認の訴えの利益は失われない。
問題の所在(論点)
人事訴訟における訴えの利益の有無が問題となる。具体的には、無効な縁組に基づく離縁の無効確認を求めることが、戸籍訂正上の利益として認められるか。
規範
戸籍上離縁の記載がされている養子縁組の当事者の一方は、当該記載が真実と異なる場合には、離縁無効を確認する確定判決を得て戸籍法116条により戸籍の記載を訂正する利益(戸籍訂正上の利益)を有する。この訴えの利益は、たとえ相手方から「前提となる縁組自体が無効である」との主張がなされ、仮にその主張が認められる場合であっても、失われるものではない。
重要事実
養親(亡F)と養子(被上告人)の間で2回の養子縁組と2回の協議離縁が届出された。被上告人は「第2回離縁の届出は自分が行っておらず無効である」として、その無効確認を求めて出訴した。これに対し、上告補助参加人は「第2回離縁の前提となる第2回縁組自体が被上告人の不知の間にされた無効なものであるから、離縁の無効を論ずる必要はなく、訴えの利益がない」と主張した。
事件番号: 昭和39(オ)189 / 裁判年月日: 昭和39年9月8日 / 結論: 棄却
養子縁組の追認には、民法第一一六条但書の規定は類推適用されないものと解するのが相当である。
あてはめ
被上告人と亡Fとの間には第2回離縁の届出がされ、戸籍にもその旨の記載が存在する。この記載が真実と異なるのであれば、被上告人は戸籍訂正のために無効確認判決を得る必要がある。補助参加人は前提となる第2回縁組の無効を主張するが、縁組が無効であっても、離縁の記載が戸籍に残っている以上、被上告人がその訂正を求める利益は否定されない。
結論
第2回縁組が無効であるとの主張が認められる場合であっても、被上告人は第2回離縁の無効確認を求める法律上の利益を有する。
実務上の射程
本判決は、人事訴訟における「戸籍訂正の利益」を独自の訴えの利益として承認したものである。答案上は、過去の法律関係が無効であっても、現在の不実な戸籍記載を是正する必要がある場合には、確認の利益を肯定する根拠として活用できる。特に「前提となる縁組が無効なら離縁の無効を争う意味がない」という被告側の抗弁を排斥する際に有用である。
事件番号: 昭和58(オ)1131 / 裁判年月日: 昭和59年3月16日 / 結論: 棄却
人事訴訟事件について検察官が人事訴訟手続法五条一項、二六条に基づき弁論期日に立会い意見を陳述することは、その期日における事件の審理及び判決をするための手続的要件ではない。
事件番号: 昭和47(オ)209 / 裁判年月日: 昭和48年4月12日 / 結論: 棄却
一、夫婦が共同して養子縁組をするものとして届出がされたところ、その一方に縁組をする意思がなかつた場合には、原則として、縁組の意思のある他方の配偶者についても縁組は無効であるが、その他方と縁組の相手方との間に単独でも親子関係を成立させることが民法七九五条本文の趣旨にもとるものではないと認められる特段の事情がある場合には、…
事件番号: 昭和59(オ)236 / 裁判年月日: 昭和63年3月1日 / 結論: 棄却
第三者の提起する養子縁組無効の訴えは、養子縁組が無効であることによりその者が自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けないときは、訴えの利益を欠く。