約束手形の第一裏書人及び第二裏書人がいずれも振出人の手形債務を保証する趣旨で裏書したものである場合において、第二裏書人が所持人から手形を受戻したうえ第一裏書人に対し遡求したときは、第一裏書人は民法四六五条一項の規定の限度においてのみ遡求に応じれば足り、右の遡求義務の範囲の基準となる裏書人間の負担部分につき特約がないときは、負担部分は平等である。
約束手形の第一裏書人及び第二裏書人がいずれも保証の趣旨で裏書したものである場合に手形を受戻した第二裏書人に対し第一裏書人が負うべき遡求義務の範囲
民法427条,民法442条,民法465条1項,手形法17条,手形法30条1項,手形法47条1項,手形法47条3項,手形法49条,手形法77条1項1号,手形法77条1項4号,手形法77条3項
判旨
複数の裏書人がいずれも振出人の債務を保証する趣旨で裏書した場合、裏書人間の遡求関係には民法465条1項が類推適用され、特約がない限り負担部分は平等となる。
問題の所在(論点)
振出人を保証する趣旨でなされた複数の裏書(隠れた手形保証)がある場合、裏書人相互間の遡求権の範囲は、手形法上の遡求規定によるのか、それとも民法の共同保証に関する規定によるのか。
規範
複数の裏書人がいずれも振出人の手形債務を保証する趣旨で裏書(いわゆる隠れた手形保証)をした場合、その実質は共同保証人である。したがって、裏書人の一人が遡求義務を履行して手形を受け戻し、他の裏書人に対して遡求する場合、その義務の範囲は民法465条1項の規定の限度(求償の範囲)に制限される。また、負担部分に関する特約がない限り、各裏書人の負担部分は平等であると解する。
重要事実
約束手形において、第一裏書人と第二裏書人の双方が、振出人の手形債務を保証する趣旨で裏書を行った。その後、手形所持人から遡求を受けた第二裏書人が、遡求義務を履行して手形を受け戻した。第二裏書人は第一裏書人に対し、手形法上の遡求権を行使したが、第一裏書人は民法上の共同保証人の求償関係を援用し、全額の支払を拒んだ。
あてはめ
本件における第一裏書人および第二裏書人は、形式的には連続した裏書人であるが、実質的には共に振出人の債務を担保する目的で裏書に関与している。このような場合、裏書人相互の内部関係は共同保証人と同様の法的性質を有するといえる。したがって、手形法上の遡求規定を形式的に適用して全額の遡求を認めるのではなく、民法465条1項を適用すべきである。本件では負担部分の特約が認められないため、両者の負担部分は平等(2分の1)と評価される。
結論
第一裏書人は、民法465条1項の規定に基づき、自己の負担部分の限度においてのみ遡求に応じれば足りる。
実務上の射程
裏書が単なる譲渡目的ではなく「保証の趣旨」である場合に、裏書人間の責任分担を実質的に判断する際の基準となる。答案上では、裏書が「隠れた手形保証」に該当することを認定した上で、裏書人相互間の求償範囲を限定する根拠として本法理を用いる。
事件番号: 昭和33(オ)688 / 裁判年月日: 昭和36年11月24日 / 結論: 棄却
約束手形の第二裏書人丙が振出人甲の手形債務を保証する趣旨でその手形を第一裏書人乙に戻裏書したときは、乙は丙に対して償還を請求することができると解すべきである。