破産債権である指名債権の譲渡を破産管財人に対抗するには、譲渡人がこれを破産管財人に通知し、又は破産管財人がこれを承諾することを要し、破産者宛の通知が破産管財人に配達され、破産管財人がこれを開披したとしても、破産管財人に対する通知があつたとはいえない。
破産管財人が破産者宛の破産債権譲渡の通知書の配達を受けて開披した場合と右譲渡の対抗力
民法467条1項,破産法190条1項,破産法190条2項
判旨
破産債権である指名債権の譲渡は、譲渡人がこれを破産管財人に通知し、又は破産管財人がこれを承諾しなければ、破産管財人に対抗することができない。
問題の所在(論点)
債務者の破産宣告後、指名債権の譲渡を破産管財人に対抗するための通知の相手方は誰か。また、破産者宛の通知を管財人が受領・認識することで対抗要件を具備したといえるか。
規範
指名債権の譲渡を破産管財人に対抗するためには、民法467条1項に基づき、譲渡人が破産管財人に対して通知を行い、又は破産管財人が承諾を与えることを要する。債権譲渡の通知が破産者宛になされ、それが破産管財人に配達・開披されたとしても、管財人が譲渡の事実を知るにすぎず、直ちに管財人に対する適法な通知があったとは解されない。
重要事実
D組合は、E社に対する債権(本件債権)をFに譲渡した。その後、E社について破産宣告がなされ、被上告人が破産管財人に選任された。譲渡人Dは、破産宣告後にE社の代表者Gに対して債権譲渡の通知を行ったが、破産管財人に対しては通知を行わなかった。上告人は、破産者宛の通知を管財人が現に開披して内容を認識している以上、対抗要件として具備されていると主張した。
事件番号: 昭和45(オ)4 / 裁判年月日: 昭和46年3月25日 / 結論: 棄却
指名債権譲渡の通知は、右債権の譲渡人、その包括承継人またはそれらから委任を受けた者がなすべきで、右債権の譲受人が委任を受けないで事務管理として右譲渡の通知をしても、債権譲渡の通知の効力を生じない。
あてはめ
破産宣告により、破産財団に属する財産の管理処分権は破産管財人に専属する。本件において、債権譲渡の通知は破産者であるE社の代表者Gに対してなされており、被上告人(破産管財人)に対してなされたものではない。上告人が主張するように、破産者宛の郵便物を管財人が開披して譲渡の事実を知ったとしても、それは単なる悪意(知得)を生じさせるにすぎない。管財人は民法467条の「第三者」に該当するため、債務者自身に対する通知とは別に、権限を有する管財人に対する明確な通知又はその承諾が必要である。
結論
指名債権の譲受人は、破産管財人に対する通知又はその承諾がない限り、本件債権譲渡を破産管財人に対抗することはできない。
実務上の射程
破産手続開始後の債権譲渡の対抗要件に関するリーディングケースである。答案上では、破産管財人が「第三者」であることを前提に、通知の相手方は管理処分権を有する管財人であることを論じる際に用いる。知得(悪意)があっても通知に代えられないという民法の原則が破産場面でも維持されることを示す好例である。
事件番号: 昭和63(オ)924 / 裁判年月日: 平成3年3月22日 / 結論: 棄却
未成年者甲の後見人に就職した乙及び丙が甲を代理して売買契約を締結した場合において、乙及び丙は甲の実親であり、甲の養父の死亡により戸籍上甲の後見人に就職した旨記載され、ともに正当な後見人となったものと考えて、甲の財産を管理してきたもので、右売買に右両名が後見人として関与したことにより、甲の利益が損なわれたわけではなく、甲…
事件番号: 昭和41(オ)1012 / 裁判年月日: 昭和44年2月27日 / 結論: 棄却
不動産の譲受人を債権者とし譲渡人を債務者として右不動産について処分禁止の仮処分登記が経由され、その後第三者に対する所有権移転登記が経由された場合において、仮処分債権者たる譲受人より譲渡人に対する本案訴訟としての所有権移転登記手続請求の訴と右第三者に対する所有権取得登記の抹消登記手続請求の訴とが併合して審理され、仮処分債…
事件番号: 昭和46(オ)1035 / 裁判年月日: 昭和47年4月13日 / 結論: 棄却
民法四二六条にいう取消の原因を覚知するとは、債務者が債権者を害することを知つて当該法律行為をした事実を取消権者において知ることを意味し、単に取消権者が詐害の客観的事実を知るだけでは足りず、債務者に詐害の意思のあることをも知ることを要する。
事件番号: 昭和38(オ)295 / 裁判年月日: 昭和39年10月27日 / 結論: 棄却
代理人が本人のためにする意思をもつて買受契約を締結する当時は、本人のためにすることを明示しなかつたが、後に代金を支払うときには、買主が本人であることを明らかにする等判示のような事情があるときは、「本人ノ為メニスルコト」を表示して契約をしたものと解するのが相当である。