代表取締役の解任に関する取締役会の決議については、その代表取締役は、特別利害関係人にあたる。
代表取締役の解任に関する取締役会の決議についてその代表取締役は特別利害関係人にあたるか
商法260条の2,商法239条5項
判旨
代表取締役の解任に関する取締役会決議において、当該代表取締役は特別の利害関係を有する者に当たり、議決権を行使することができない。また、取締役の一部に対する招集通知を欠き、招集権限のない取締役が招集した取締役会決議は、特段の事情がない限り有効に成立しない。
問題の所在(論点)
1.代表取締役の解任決議において、解任される代表取締役は「特別の利害関係を有する者」に該当するか。2.招集権限のない者による招集、および一部の取締役に対する招集通知の欠落がある取締役会決議の効力。
規範
取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役(会社法369条2項)とは、決議の目的事項について、会社以外の個人的な利益を有し、公正な議決権の行使を期待できない者をいう。代表取締役の解任決議において、当該代表取締役は、自己の地位の保持という個人として重大な利害関係を有するため、忠実義務に照らし公正な議決を担保する観点から、これに該当すると解すべきである。また、取締役会の招集は招集権者により、全取締役に対してなされる必要があり、これに反する手続上の瑕疵がある決議は原則として無効である。
重要事実
被上告会社の代表取締役Eの解任を目的とする取締役会において、解任対象であるE自身が議決権を行使した。また、当該取締役会は、招集権のない平取締役であったEが招集したものであり、かつ、当時任期満了後も取締役の権利義務を有していたD(商法258条、現会社法346条1項)に対して招集通知がなされず、Dも出席していなかった。
事件番号: 昭和33(オ)709 / 裁判年月日: 昭和36年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】取締役等を選任した株主総会決議の無効確認の訴えにおいて、当該取締役が既に退任し後任者の登記も完了している場合、過去の法律行為の効力を争う前提としての確認利益は認められない。 第1 事案の概要:上告人は、昭和29年10月の株主総会においてDおよびEを取締役・代表取締役に選任した決議の無効確認を求めた…
あてはめ
1.代表取締役は会社の経営・支配に大きな権限を有しており、その地位から排除されるか否かの判断において、本人は自己の利益を図りやすく、会社への忠実義務に従った公正な判断を期待しがたい。したがって、Eは特別利害関係人に該当し、議決権行使を排除される。2.本件取締役会は、招集権のないEが招集し、法定の権利義務を有する取締役Dへの通知も欠いている。このような重大な手続上の瑕疵がある以上、特段の事情(Dの出席等)も認められない本件では、当該取締役会が有効に成立したとは認められない。
結論
代表取締役Eは解任決議につき特別利害関係人に当たり、その議決権行使は認められない。また、招集手続に重大な瑕疵がある本件取締役会決議は無効である。
実務上の射程
代表取締役の解任(会社法362条2項3号)における特別利害関係人の典型例として答案で活用すべき判例である。あわせて、権利義務取締役への招集通知漏れが原則として決議無効事由となる点も、手続的適法の論述において重要である。
事件番号: 昭和41(オ)868 / 裁判年月日: 昭和42年3月14日 / 結論: 棄却
株主である取締役は、当該取締役の解任に関する株主総会の決議については、商法第二三九条第五項にいう特別の利害関係を有する者にあたらない。
事件番号: 昭和47(オ)91 / 裁判年月日: 昭和48年6月15日 / 結論: 棄却
一、定款をもつて株式の譲渡につき取締役会の承認を要する旨定められている場合に、その承認をえないで株式が譲渡されても、右株式の譲渡は、譲渡当事者間においては有効であると解すべきである。 二、株式を譲渡担保に供することは、商法二〇四条一項にいう株式の譲渡にあたると解すべきである。
事件番号: 昭和57(オ)1419 / 裁判年月日: 昭和59年9月28日 / 結論: 棄却
株主総会における取締役選任決議の無効確認請求訴訟を本案とする代表取締役の職務執行停止及び職務代行者選任の仮処分がされた場合に、本案訴訟において会社を代表すべき者は、職務の執行を停止された代表取締役ではなく、代表取締役職務代行者である。
事件番号: 昭和52(オ)833 / 裁判年月日: 昭和53年4月14日 / 結論: 棄却
有限会社の社員総会において、その社員である特定の者を取締役に選任すべき決議をする場合に、その特定の者は、右決議につき特別の利害関係を有する者にあたらない。