一、定款をもつて株式の譲渡につき取締役会の承認を要する旨定められている場合に、その承認をえないで株式が譲渡されても、右株式の譲渡は、譲渡当事者間においては有効であると解すべきである。 二、株式を譲渡担保に供することは、商法二〇四条一項にいう株式の譲渡にあたると解すべきである。
一、商法二〇四条一項但書による株式の譲渡制限と取締役会の承認のない株式譲渡の譲渡当事者間における効力 二、株式の譲渡担保と商法二〇四条一項
商法204条1項
判旨
譲渡制限株式の譲渡(譲渡担保設定を含む)について取締役会の承認を得ていない場合、その譲渡は会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡当事者間では有効である。
問題の所在(論点)
譲渡制限株式の譲渡につき取締役会の承認を欠く場合、その譲渡(譲渡担保設定)は当事者間において有効か(旧商法204条1項但書、現会社法107条2項1号・136条等)。
規範
譲渡制限株式の譲渡(譲渡担保設定を含む)において、取締役会の承認を欠く場合であっても、会社にとって好ましくない株主の出現を防止するという制限の趣旨と株式譲渡自由の原則を調和させる観点から、その効力は会社に対する関係では無効であるが、譲渡当事者間においては有効である(相対的無効説)。
重要事実
上告人は、譲渡制限が付された株式を譲渡担保に供したが、当該株式の譲渡(譲渡担保設定)について会社の定款に基づく取締役会の承認を得ていなかった。このため、当事者間における譲渡担保設定の有効性が争点となった。
事件番号: 昭和61(オ)965 / 裁判年月日: 昭和63年3月15日 / 結論: 破棄自判
株式の譲渡につき取締役会の承認を要する旨定款に定められているのに、競売による株式取得につき取締役会の承認がない場合には、競売前の株主が、なお会社に対して株主としての地位を有する。
あてはめ
商法204条1項但書(当時)の趣旨は、会社にとって好ましくない者が株主となるのを防ぐ点にある。本件において、承認を欠く譲渡を会社に対する関係で無効とすればこの目的は達成される。他方、株式は本来自由譲渡性を有すべき性質のものであり、当事者間においてまで無効とする必要性はない。したがって、取締役会の承認を欠く譲渡担保設定も、当事者間では有効な権利移転の効力を生じる。
結論
譲渡制限株式の譲渡につき取締役会の承認を得ていない場合でも、当事者間における譲渡(譲渡担保設定)は有効である。
実務上の射程
会社法下の譲渡制限株式(107条1項1号、108条1項6号)全般に適用される。答案上、会社側が承認欠缺を理由に譲受人の権利を否定する場面と、譲渡人・譲受人間で権利の帰属を争う場面を峻別して論じる際に必須の判例である。また、譲渡担保の設定が「譲渡」に含まれることを明示した点も重要である。
事件番号: 昭和43(オ)728 / 裁判年月日: 昭和44年3月28日 / 結論: 棄却
代表取締役の解任に関する取締役会の決議については、その代表取締役は、特別利害関係人にあたる。
事件番号: 昭和42(オ)1293 / 裁判年月日: 昭和43年10月17日 / 結論: 破棄差戻
株主総会決議無効確認の訴において、原告が自己の株主であることを立証するために同人名義の株券を書証として提出した場合であつても、その提出が二審においてはじめてされたものであるうえ、右株券には同人名義の白地式裏書があり、同人がこれを他に譲渡して一審当時はこれを所持していなかつたことを窺わせる判示の如き証拠があるときには、こ…
事件番号: 昭和41(オ)975 / 裁判年月日: 昭和43年10月18日 / 結論: 破棄差戻
譲渡担保が暴利行為により公序良俗に違反するかどうかの判断に当つては、特段の事情のないかぎり、その契約により担保される債権の額とその譲渡担保の対象となつた全物件の価格を比較すべきである。