詐害行為の成否が第三者異議の訴の異議事由の存否に関する判断の先決問題となる場合において、第三者異議の訴と詐害行為取消の訴とが同一の裁判所において審理され、その結果、詐害行為取消権が存すると判断され、異議事由である所有権の取得が否定されるべきことが裁判所に明らかとなつた場合でも、両者が別訴として提起され、その弁論も併合されず、それぞれ別個の判決がされるときは、詐害行為の成立を理由として、第三者異議の訴を棄却することは許されない。
詐害行為取消の訴と第三者異議の訴とが別訴として提起され別個の判決がされる場合に詐害行為の成立を理由として第三者異議の訴を棄却することはできないとされた事例
民法424条,民訴法549条
判旨
第三者異議の訴えと詐害行為取消しの訴えが別訴として提起され、弁論が併合されていない場合、詐害行為の成否を理由に直ちに異議を排斥することはできない。異議の事由である所有権取得の効力が詐害行為取消しによって否定されない限り、債権者は仮登記後の抵当権をもって第三者に対抗し得ない。
問題の所在(論点)
民事執行法38条(旧民訴法549条)に基づく第三者異議の訴えにおいて、被告(債権者)が原告(第三者)の所有権取得の詐害行為性を主張しているが、その取消訴訟が別訴として分離されている場合に、裁判所は詐害行為の成否を理由に異議を排斥できるか。
規範
第三者異議の訴えにおいて、異議事由となる権利取得の効力が詐害行為に該当し、その取消しが別訴で争われている場合、両訴訟が同一裁判所に併合審理され、詐害行為取消権の存在により権利取得が否定されるべきことが明らかなときには、異議の訴えを排斥できる。しかし、両訴が別訴として提起され、弁論が併合されず個別に審理されている場合には、当然に同様の結論を導くことはできない。
重要事実
上告人は、訴外丹下より本件土地を譲り受け、昭和29年2月に所有権移転の仮登記を、同年9月に本登記を経由した。一方、被上告人は右仮登記後かつ本登記前の同年3月に抵当権設定登記を経由し、競売を申し立てた。上告人は所有権に基づき競売不許を求める第三者異議の訴えを提起したが、被上告人は右譲渡が詐害行為にあたるとして別訴で取消しを求めて争った。
あてはめ
本件では、第三者異議の訴えと詐害行為取消しの訴えが別個に進行し、弁論も併合されていない。加えて、先行する詐害行為取消しの別訴において被上告人勝訴とした判断には違法があり破棄されている。したがって、上告人が仮登記により確保した所有権取得の効力を詐害行為として否定する前提が欠けている以上、仮登記後に設定された被上告人の抵当権は上告人に対抗できず、上告人の所有権は有効な異議事由となる。
結論
第三者異議の訴えと詐害行為取消しの訴えが併合審理されていない以上、後者の判断を待たずに異議を排斥することは許されず、上告人の所有権に基づく異議を認容すべきである。
実務上の射程
詐害行為取消権を抗弁として主張する場合の限界を示す。実務上、債権者は第三者異議の訴えに対し反訴として取消権を行使するか、弁論の併合を申し立てるべきである。判例の射程は、取消訴訟が分離されており、かつ取消しの形成判決が確定していない状況において、当然に所有権取得の効力を否定できない点にある。
事件番号: 昭和31(オ)765 / 裁判年月日: 昭和35年8月4日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】不動産引渡命令に対する不服申立ては、執行異議または即時抗告によるべきであり、第三者異議の訴えによってその執行の排除を求めることはできない。 第1 事案の概要:債権者が不動産競売申立事件に基づき、被上告人らに対して不動産引渡命令を得た。これに対し、被上告人は、自身が当該不動産の所有者ではなく、かつ抵…
事件番号: 昭和34(オ)99 / 裁判年月日: 昭和40年3月26日 / 結論: 棄却
所有権を異議理由とする第三者異議訴訟の繋属中に、右所有権の取得原因たる契約が詐害行為に該当することを理由として右契約の取消を求める反訴が提起され、右本訴および反訴が同一の裁判所において審理された結果、詐害行為取消権が存すると判断され、前記の所有権取得が否定されるべきことが裁判所に明らかな場合においては、本訴である第三者…