所有権を異議理由とする第三者異議訴訟の繋属中に、右所有権の取得原因たる契約が詐害行為に該当することを理由として右契約の取消を求める反訴が提起され、右本訴および反訴が同一の裁判所において審理された結果、詐害行為取消権が存すると判断され、前記の所有権取得が否定されるべきことが裁判所に明らかな場合においては、本訴である第三者異議訴訟は排斥を免れない。
詐害行為取消の反訴が認容されるべき場合には本訴である第三者異議訴訟は排斥を免れないとされた事例。
民法424条,民訴法549条,民訴法239条,民訴法227条
判旨
第三者異議訴訟において、目的物の取得原因である贈与契約等が詐害行為に該当する場合、詐害行為取消判決が未確定であっても、同一手続内で取消権の存在が認められれば、当該異議理由は認められない。
問題の所在(論点)
第三者異議訴訟において、原告の権利取得が詐害行為に該当する場合、詐害行為取消判決が確定する前であっても、当該権利を異議の理由として主張することが妨げられるか。
規範
詐害行為取消の効果は取消判決の確定により生じるが、第三者異議訴訟中に詐害行為取消を求める反訴が提起され、同一の裁判所で同時に審理された結果、口頭弁論終結時において詐害行為取消権の存在が認められる場合には、異議の理由となる所有権(民事執行法38条1項、旧民訴法549条)を基礎づけることができない。
重要事実
執行債務者Dが債権者(被上告人)を害することを知りながら、本件畳建具を上告人に贈与した。被上告人が当該物件を差し押さえたところ、上告人が所有権を主張して第三者異議訴訟を提起した。これに対し被上告人は、当該贈与契約の詐害行為取消を求める反訴を提起し、本訴と反訴が同一手続で審理された。
事件番号: 昭和32(オ)613 / 裁判年月日: 昭和32年12月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第三者異議の訴えは、強制執行が終了した後は許容されない。既に執行が完了している場合には、執行を阻止する目的を達することができないため、訴えの利益が認められない。 第1 事案の概要:上告人Aが賃借している家屋に対し、訴外Dに対する債務名義に基づいて強制執行がなされた。Aは、当該強制執行が違法であると…
あてはめ
本件では、上告人とDの贈与契約が詐害行為に該当することが原審の事実認定により明らかである。詐害行為取消の効果は本来判決確定によって生じるものであるが、本件のように同一手続内で反訴によって取消権が行使され、裁判所がその存在を確信した場合には、上告人の所有権取得は否定されるべき状態にある。したがって、上告人の主張する所有権は、執行を阻止し得る正当な異議理由としての実質を欠くというべきである。
結論
上告人の本訴請求(第三者異議)を排斥した原審の判断は正当である。詐害行為取消の対象となる贈与に基づき所有権を主張することは、取消権が行使されている以上、異議理由として認められない。
実務上の射程
詐害行為取消の形式的確定を待たずに第三者異議を排斥できる実務的運用を認めた判例。答案上は、詐害行為取消権を抗弁(または反訴)として主張された場合、判決の形成力という原則を維持しつつも、訴訟経済の観点から同一手続内での同時解決を認める論拠として活用する。
事件番号: 昭和42(オ)660 / 裁判年月日: 昭和43年11月15日 / 結論: 破棄自判
詐害行為の成否が第三者異議の訴の異議事由の存否に関する判断の先決問題となる場合において、第三者異議の訴と詐害行為取消の訴とが同一の裁判所において審理され、その結果、詐害行為取消権が存すると判断され、異議事由である所有権の取得が否定されるべきことが裁判所に明らかとなつた場合でも、両者が別訴として提起され、その弁論も併合さ…