確定審決に対して再審の請求を認める特許法第一七一条の規定は、旧特許法(大正一〇年法律第九六号)による特許出願拒絶査定を不服とする抗告審判の審決についても適用される。
旧特許法(大正一〇年法律第九六号)による特許出願拒絶査定を不服とする抗告審判の審決と特許法第一七一条の適用の有無
旧特許法(大正10年法律96号)121条,特許法171条,特許法施行法20条,特許法施行法29条
判旨
特許法の改正に伴い、旧法下でなされた拒絶審決であっても、新法施行後に確定したものについては、特許法施行法により新法による審決とみなされるため、新法171条に基づく再審請求が認められる。
問題の所在(論点)
旧特許法下で開始された査定系事件の審判において、現行法の施行後に審決が確定した場合、現行法(新法)の再審に関する規定を適用できるか。施行法29条による「新法によってなされたものとみなす」規定の帰結が問題となる。
規範
法律の改正があった場合、経過規定等の別段の定めがない限り、施行後の事象はすべて改正法によって規律されるのが法の原則である。また、旧法下で行われた手続が新法下でなされたものとみなされる旨の規定がある場合、当該手続の効力については原則として新法が適用される。
重要事実
被上告人が旧特許法に基づき特許出願し拒絶査定を受けた。これに対し抗告審判を請求したが、現行特許法施行後に「請求は成り立たない」旨の審決がなされ、そのまま確定した。旧法では査定系事件の確定審決に対する再審請求は認められていなかったが、現行法171条はこれを認めている。被上告人が再審を請求したところ、上告人は旧法下の出願であり再審は許されないと主張して争った。
あてはめ
特許法施行法20条1項により本件審判は旧法に従ってなされたが、同法29条により新法下では新法による審決とみなされる。再審制度は、一定の事由がある場合に確定審決を遡及的に取り消し、審判前の状態に戻して再審理を行うものである。したがって、旧法下で拒絶審決がなされた後であっても、再審理すべき対象(法益)が消滅したとはいえず、新法171条の適用を認めるべきである。もし再審を許さないとするならば施行法に特段の禁止規定が必要であるが、本件では存在しない。また、施行後に生じた確定審決に新法を適用することは、法律不遡及の原則にも抵触しない。
結論
旧法下の出願に基づく審決であっても、新法施行後に確定したものは、新法の規定に基づき再審を請求することができる。
実務上の射程
法改正時の経過措置の解釈指針を示すものである。特に「施行法により新法の行為とみなされる」場合の法的性質について、原則として新法の効力(再審等の不服申立手段)が及ぶという解釈は、行政法一般や民事訴訟法の改正時における解釈論としても転用しうる。
事件番号: 昭和45(行ツ)85 / 裁判年月日: 昭和46年2月9日 / 結論: 棄却
審決に対する出訴期間中にされた右審決に対する再審の請求は不適法として許されず、そのかしは補正の方法がなく、また、再審の請求に対する審決があるまでの間に前記出訴期間が満了してもそれによつて右かしが治癒されることはない。