建物とともに敷地の賃借権が転々譲渡され、賃借権の各譲渡について賃貸人の承諾のない場合であつても、賃借権存続期間中に譲りうけた最後の譲受人は、建物買取請求権を有する。
建物とともに敷地賃借権が転々譲渡された場合と建物買取請求権
借地法10条
判旨
建物と共に敷地の賃借権が転々譲渡され、各譲渡につき賃貸人の承諾がない場合であっても、賃借権存続期間内であれば、最後の譲受人は建物買取請求権を有する。
問題の所在(論点)
借地法4条2項(現行借地借家法13条1項)に基づく建物買取請求権の行使について、賃貸人の承諾のない無断譲受人がその主体となり得るか、また転々譲渡された場合の最後部の譲受人にその権利が認められるか。
規範
建物と共に敷地の賃借権が転々譲渡された場合、賃貸人の承諾のない無断譲渡の状態であっても、当該賃借権の存続期間内である限り、建物の所有権を取得した最後の譲受人は、建物買取請求権を行使することができる。
重要事実
本件土地の賃借権が建物と共に転々譲渡された。しかし、それら一連の賃借権譲渡について、賃貸人の承諾は得られていなかった。賃借権の存続期間内において、建物の最後の譲受人が賃貸人に対し建物買取請求権を主張した事案である。
事件番号: 昭和36(オ)646 / 裁判年月日: 昭和38年4月23日 / 結論: 棄却
第三者が賃借土地の上に存する建物の所有権を取得した場合に、賃貸人が賃借権の譲渡を承諾しない間に賃貸借が賃料不払のため解除されたときは、借地法一〇条に基づく第三者の建物買取請求権はこれによつて消滅するものと解するのを相当とする。
あてはめ
本件における土地の使用関係は相当の対価を伴った有償の借地契約であると認められる。この賃借権の存続期間内であれば、たとえ賃貸人の承諾を欠く無断譲渡が繰り返された場合であっても、建物所有権を現に有する最後の譲受人は、借地法上の建物買取請求権を適法に行使し得ると解される。本件譲受人は当該要件を満たしている。
結論
最後の譲受人は、賃借権の各譲渡につき賃貸人の承諾がない場合であっても、賃借権存続期間内であれば建物買取請求権を有する。
実務上の射程
無断譲受人が賃貸人に対し賃借権を対抗できない場合であっても、建物買取請求権の行使を認めて社会経済的損失を防ぐ趣旨。答案上は、賃貸人が解除権を行使していない等の理由で賃借権が消滅していない局面において、無断譲受人による権利行使の可否として検討する。
事件番号: 昭和31(オ)970 / 裁判年月日: 昭和32年11月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地賃借権の譲渡について賃貸人の承諾を得られなかった場合であっても、譲受人は地上建物の処分権を失わず、賃貸人に対し建物買取請求権を行使できる。 第1 事案の概要:上告人は土地の賃借権を譲り受けたが、賃貸人である相手方から当該譲渡についての承諾を得ることができなかった。上告人は、承諾が得られないこと…
事件番号: 昭和42(オ)146 / 裁判年月日: 昭和43年2月1日 / 結論: 棄却
「推認」の語は、証拠によつて認定された間接事実を総合し、経験則を適用して主要事実を認定する場合に用いられる用語法であつて、証明度において劣る趣旨を示すものではない。
事件番号: 昭和39(オ)306 / 裁判年月日: 昭和40年6月4日 / 結論: 棄却
土地賃貸借契約の当事者間において、賃借地上の建物が第三者の所有に帰したときは賃借権は当然に消滅する旨の特約がなされた場合であつても、賃借人が第三者に譲渡した建物の敷地部分が借地全体からみて少部分であり、しかも、元来その余の部分とは別々の時期に別々に賃借され、従来から明確に区分されて使用されている等原判示の事情(原判決理…
事件番号: 昭和42(オ)1356 / 裁判年月日: 昭和43年4月16日 / 結論: 棄却
土地の一部につき無断転貸などの違反行為があつたにすぎない場合でも、建物と土地とが一個の賃貸借の目的となつているときには、右賃貸借全部を解除することができる。