租税特別措置法(昭和三八年法律第六五号による改正前のもの)第三五条にいう譲渡に係る「居住の用に供する家屋の敷地に供される土地」とは、譲渡の当時現実に居住用家屋の敷地に供されている土地だけでなく、所有者が居住用家屋の敷地に供する意図のもとに所有している土地をも含むが、所有者の右の意図は、近い将来において実現されることが客観的に明白なものでなければならないと解するのが相当である。
租税特別措置法(昭和三八年法律第六五号による改正前のもの)第三五条にいう譲渡に係る「居住の用に供する家屋の敷地に供される土地」の意義
租税特別措置法(昭和38年法律65号による改正前のもの)35条
判旨
旧租税特別措置法35条4項1号にいう「居住の用に供する家屋の敷地に供される土地」には、譲渡時に現実に供されている土地だけでなく、近い将来において実現されることが客観的に明白な居住用供用意図の下に所有されている土地も含まれる。
問題の所在(論点)
旧租税特別措置法35条4項1号(居住用財産の買換えによる譲渡所得の課税減免)の対象となる「居住の用に供する家屋の敷地に供される土地」の意義、及び現実に居住用家屋が存しない土地が含まれるための要件が問題となる。
規範
「居住の用に供する家屋の敷地に供される土地」とは、原則として譲渡当時現実に居住用家屋の敷地に供されている土地を指すが、所有者が当該土地を居住用家屋の敷地に供する意図の下に所有している土地をも含む。ただし、租税の公平負担及び立証の難易という見地から、当該意図は「近い将来において実現されることが客観的に明白なもの」でなければならない。
重要事実
上告人らは、戦時中の強制疎開により建物が取り壊され空地となっていた本件土地を昭和22年及び26年に取得した。取得後も本件土地は約15年間にわたり空地のまま放置され、ごみ捨て場となっていた。その間、上告人らは他から家屋を賃借して居住しており、その居住実態は「仮住居」といえるものではなかった。上告人らの一方が駐車場経営を計画した際、他方が反対して住宅建築を検討したことはあったが、具体的計画に至らないまま昭和35年に本件土地を第三者に譲渡した。
事件番号: 昭和61(行ツ)7 / 裁判年月日: 平成元年3月28日 / 結論: 棄却
租税特別措置法(昭和五七年法律第八号による改正前のもの)三五条一項にいう「当該家屋で当該個人の居住の用に供されなくなつたもの」の譲渡は、当該家屋を所有者として居住の用に供していた者のする譲渡であることを要する。 (反対意見がある。)
あてはめ
上告人らは将来の居住目的で土地を買い入れたと主張するが、土地取得から譲渡まで約15年間も空地のまま放置しており、その間は他所で安定した居住生活を営んでいた。駐車場経営計画の阻止を目的とした一時的な住宅建築の検討は、具体的な建設計画を伴うものではない。したがって、本件土地を近い将来に居住用家屋の敷地とする意図が「客観的に明白」であったとは認められず、法が予定する居住用財産には該当しないと評価される。
結論
本件土地は「居住の用に供する家屋の敷地に供される土地」に該当せず、譲渡所得の課税減免の対象とならない。
実務上の射程
現実の居住がない土地について居住用財産の適用を認めるための限界を示した判例である。答案上は、文言の形式的適用を避けつつも、租税公平主義の観点から「客観的明白性」という厳格な要件を課す論理として活用できる。
事件番号: 昭和41(行ツ)60 / 裁判年月日: 昭和42年6月9日 / 結論: 棄却
「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約」(昭和三〇年条約第一号)第八条の規定は、一方の締約国の居住者または法人その他の団体の他方の締約国内に存する不動産その他同条所定の資産については、右資産の所在国が、これに別段の課税方法を設けているときでも、その納税者に純所得…
事件番号: 昭和41(行ツ)8 / 裁判年月日: 昭和43年10月31日 / 結論: 棄却
旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)第五条の二の規定は、資産の値上りによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得とし、それを右資産の他への移転の時期において課税の対象とするのを相当と認め、それが対価を伴わずに移転される場合にもいわゆる譲渡所得に準じて取り扱うべきものとしたのであつて、所得のないところに課税所得の存在を擬…
事件番号: 平成21(行ヒ)154 / 裁判年月日: 平成23年3月25日 / 結論: その他
1 家屋の建替え中のため固定資産税の賦課期日に面積が200?以下である土地の上に地方税法(平成18年法律第7号による改正前のもの)349条の3の2第1項所定の居住用家屋が存しない場合において,上記賦課期日における当該土地の現況が,既存の居住用家屋の取壊し後に,その家屋の所有者であった者を建築主とし,約10か月の工事予定…