当該口頭弁論期日の開かれた事跡が記録上見当らないことが上告理由で指摘された等判示事実関係のもとにおいては、その後、右期日の開かれた旨を記載する口頭弁論調書を作成することは許されない。
上告理由で指摘された後に口頭弁論調書の作成が許されないとされた事例
民訴法142条,民訴法147条
判旨
口頭弁論の方式に関する手続欠缺の違法が上告理由として指摘された後に、当該欠缺がない旨を記載して作成された調書には、民事訴訟法上の調書の専別証拠力を認められない。そのため、適法な期日の指定・告知が証明されない場合は、判決の言渡手続に違法があるとして破棄を免れない。
問題の所在(論点)
上告理由により手続の違法が具体的に指摘された後に、その違法を補填する目的で事後的に作成された口頭弁論調書に、民事訴訟法第160条2項(旧147条)が定める専別証拠力を認めることができるか。
規範
口頭弁論調書は、当該期日ごとに法廷で作成されるのが原則であるが、事務上の都合により期日後に作成された場合でも、権限ある書記官によって法定の形式を具備して作成される限り、調書としての効力は否定されない。しかし、口頭弁論の方式に関する規定の遵守は調書によってのみ証明できるとする「調書の専別証拠力」(民訴法160条2項参照)の趣旨に鑑みれば、既に手続の違法が上告理由として指摘された後に、当該違法を解消する内容で事後的に作成された調書については、専別証拠力を認めることはできない。
重要事実
原審において、判決言渡期日が当初指定された日から変更されたが、変更後の期日(昭和39年3月31日)の指定・告知が適法になされた事跡が記録上見当たらなかった。上告人がこの言渡手続の違法を上告理由書で指摘したところ、その指摘から約1ヶ月後(同年7月21日)になって、裁判所書記官と裁判官が、過去の期日(同年3月12日)に判決言渡を延期して次回期日を指定・告知した旨の調書を「作成の脱漏があった」として新たに作成し、記録に編綴した。
あてはめ
本件では、判決言渡期日の指定・告知という口頭弁論の方式に関する重要な手続について、上告人がその欠缺を理由に上告を申し立てた。その指摘がなされた後に、慌てて「作成の脱漏」を理由として、指摘された欠缺を否定する内容の調書を事後作成することは、調書の正確性と信頼性を基礎とする専別証拠力の制度趣旨を逸脱するものである。したがって、昭和39年7月21日作成の調書によって期日の指定・告知があった事実を証明することはできず、他にこれを認める証拠もない以上、本件判決の言渡手続には法律の違背があるといえる。
結論
原判決の言渡手続には、適法な期日の指定・告知があったことが証明されず、違法があるため、原判決は破棄を免れない。
実務上の射程
手続違背が争点となる事案において、裁判所側の事後的な帳尻合わせを認めない判断であり、民訴法160条2項の厳格な運用を求めるものである。答案上は、調書の専別証拠力の例外(または限界)として、手続の適法性が具体的に争われた後の事後作成調書の証拠力を否定する際に引用すべき判例である。
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甲から乙に対する第一請求と乙・丙に対する固有必要的共同訴訟たる第二請求とにつき原審で一個の判決があり、乙から第一請求に関する敗訴部分を目的として上告の申立があつた場合に、甲が第二請求の敗訴部分を目的として附帯上告を申し立てることは、許されない。