家事審判法二三条所定の当事者間の合意が不存在または無効の場合には、同法二五条および家事審判規則一三九条一項前段による利害関係人の異議の申立に準じ、当事者は、家事審判法二三条の審判に対し異議の申立をすることができる。
家事審判法二三条の審判に対する当事者の異議申立の許否
家事審判法23条,家事審判法25条,家事審判規則139条
判旨
家事審判法23条の審判(合意に相当する審判)に対し即時抗告は認められないが、前提となる合意が不存在又は無効な場合は、当事者は同法25条等を類推適用して異議の申立てをなし得る。
問題の所在(論点)
家事審判法23条の規定に基づく「合意に相当する審判」に対し、前提となる合意が存在しない等の瑕疵がある場合、当事者はどのような不服申立手段をとり得るか。また、即時抗告を認めないことは憲法32条に違反するか。
規範
家事審判法23条所定の審判に対しては、即時抗告の途は開かれていない。しかし、同条の審判は本来訴訟事件の性質を有し、当事者間の有効な合意の成立が前提要件となっている。したがって、当該合意が不存在または無効の場合には、同法25条及び家事審判規則139条1項前段を類推適用し、当事者は利害関係人の異議申立てに準じて、右合意の不存在・無効を理由とする異議の申立てをすることができると解すべきである。
重要事実
抗告人は、家事審判法23条所定の合意を欠く状態で行われた同条の審判に対し、同法14条に基づく即時抗告を申し立てた。原審は、23条審判に対しては利害関係人による異議の申立てのみが認められ、即時抗告は認められないと判断した。これに対し抗告人は、当事者による異議申立てが許されないとすれば、違法な審判に対し不服申立手段を奪うことになり憲法32条に違反すると主張して抗告した。
事件番号: 昭和54(ク)430 / 裁判年月日: 昭和55年2月7日 / 結論: 棄却
特別家事審判規則二一条の審判に対し即時抗告による不服申立の方法を認めるかどうかは、立法政策の問題に帰着し、家事審覇法一四条及び右規則が憲法三二条に違反するかどうかの問題を生じない。
あてはめ
まず、23条審判は合意の成立を前提として対審判決手続を排するものである以上、合意の瑕疵を争う手段が必要である。そこで、23条審判の構造に鑑み、利害関係人の異議申立規定(同法25条等)を類推適用し、当事者にも合意の不存在等を理由とする異議申立てを認めるのが相当である。次に、憲法32条(裁判を受ける権利)との関係では、審級制度の具体的内容は立法府の裁量に委ねられており、即時抗告を認めずとも、上記異議申立ての途が確保されている以上、同条に違反するとはいえない。
結論
本件抗告を棄却する。23条審判に対し即時抗告は認められないが、合意の不存在等を理由とする異議申立ては可能であり、この解釈を前提とする限り、即時抗告を認めない法制度は憲法32条に違反しない。
実務上の射程
現行の家事事件手続法においても、277条の「合意に相当する審判」に対する不服申立は「異議の申立て」(同法279条)によるべきとされており、本判例の理論構成(瑕疵がある場合の救済手段の必要性と異議申立による解決)は実務上定着している。憲法32条と審級制度の関係を述べる際の引用にも適している。
事件番号: 昭和39(オ)924 / 裁判年月日: 昭和42年5月23日 / 結論: 破棄差戻
当該口頭弁論期日の開かれた事跡が記録上見当らないことが上告理由で指摘された等判示事実関係のもとにおいては、その後、右期日の開かれた旨を記載する口頭弁論調書を作成することは許されない。
事件番号: 昭和33(オ)285 / 裁判年月日: 昭和33年11月19日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事の抗告事件について裁判権を有するのは、訴訟法により特に許された場合に限られ、実質的に憲法違反の主張を含まない訴訟法上の主張は特別抗告の事由に当たらない。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案である。抗告人は、本件の抗告理由において憲法違反を主張していたが…
事件番号: 昭和33(ク)44 / 裁判年月日: 昭和33年3月12日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては憲法違反の主張が実質的に単なる法令違反にすぎない場合は、特別抗告として不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、原審が抗告期間の徒過を理由として抗告を却下し、申立ての理由の有無について判断しなかったこ…
事件番号: 昭和32(ク)215 / 裁判年月日: 昭和32年10月23日 / 結論: 棄却
後見監督人選任申立却下の審判に対し不服申立の途を認めない家事審判法第一四条および家事審判規則の規定は、憲法第三二条に違反しない。