一 財産税について不動産が物納許可の対象とされた場合、財産税債権は、右許可によつてただちに消滅するのではなく、右不動産について物納許可を原因とする所有権移転登記手続が完了するまで存続する。 二 財産税について、物納許可がされた後においても、財産税債権の消滅時効が進行する。
一 財産税物納の場合における財産税債権消滅の時期 二 財産税物納許可後における財産税債権の消滅時効進行の有無
財産税法56条,財産税法施行規則60条,昭和22年政令109号1条,民法166条
判旨
不動産による物納許可があっても、対抗要件が具備されるまでは租税債権は消滅せず、消滅時効も進行する。その後、登記具備前に租税債権が時効消滅した場合には、物納許可はその効力を失い、不動産の所有権は当然に納税者に復帰する。
問題の所在(論点)
不動産の物納許可後、登記具備前に租税債権の消滅時効が完成した場合における、(1) 租税債権の消滅時期および時効進行の可否、(2) 物納許可の効力と所有権の帰属。
規範
1. 不動産による物納許可がなされた場合であっても、対抗要件(所有権移転登記等)を具備するまでは租税債権は消滅せず、存続する。2. 物納許可後であっても、国は単独で登記を嘱託して債権を消滅させ得るので、租税債権の消滅時効の進行は妨げられない。3. 登記具備前に租税債権が時効消滅したときは、原因たる物納許可はその効力を失い、所有権は当然に復帰する。
重要事実
上告人(国)は被上告人に対し財産税債権を有しており、本件不動産による物納が許可された。しかし、国は物納許可に基づき不動産の所有権移転登記を完了させる前に、相当期間が経過して財産税債権の消滅時効が完成した。その後、国は所有権移転登記を経由したが、被上告人が所有権の帰属を争った事案である。
あてはめ
財産税法の規定上、物納の効力は対抗要件具備時に発生すると解されるため、本件では登記未了の間は債権が存続していた。また、国は物納者の協力を得ずとも単独で登記嘱託が可能であり、「権利を行使し得る」状態にあったといえるため、時効は進行する。したがって、登記前に債権が時効消滅した以上、物納による所有権移転の原因が失われたといえ、所有権は当然に被上告人に復帰したと解される。
結論
物納許可後であっても、登記を具備する前に租税債権が時効消滅した場合には、物納許可は効力を失い、不動産の所有権は納税者に復帰する。
実務上の射程
代物弁済の法理に類似するが、特に公法上の物納において「対抗要件具備時を納付時とみなす」旨の明文規定がある場合の解釈として重要である。民事上の代物弁済においても、登記未了の間に債権が消滅した場合の所有権復帰の論理として応用しうる。
事件番号: 昭和33(オ)71 / 裁判年月日: 昭和35年3月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】債務者が債権証書を保持していない場合であっても、他の証拠を総合して弁済の事実を認定できるのであれば、特段の違法はない。また、特定の事実が存在しても、当然に占有者が「所有の意思」を有していると認定されるわけではない。 第1 事案の概要:本件において、上告人は債務が既に弁済されていると主張したが、債権…
事件番号: 昭和45(オ)939 / 裁判年月日: 昭和46年6月22日 / 結論: 棄却
時効により不動産の所有権を取得しても、その登記がないときは、時効完成後旧所有者から所有権を取得し登記を経た第三者に対し、所有権の取得を対抗できない(最高裁判所昭和三〇年(オ)第一五号、同三三年八月二八日第一小法廷判決、民集一二巻一二号一九三六頁)。
事件番号: 昭和35(オ)348 / 裁判年月日: 昭和35年9月2日 / 結論: 棄却
一 空襲により一家全滅した本家の再興のため、親族の協議により相続人に選ばれて本家の家業を継ぎ、相続財産に属する土地を占有している二二歳の女子につき、原審認定のような事実関係(原判決理由参照)があるときは、同人がその土地の所有権を取得したものと信ずるにつき過失はないものと解すべきである。 二 民法第一六〇条は、相続財産の…