罹災都市借地借家臨時処理法第二条により設定された賃借権に基づいて借地上に建物を築造所有し、よつて一〇年の存続期間満了後も土地の使用を継続する場合には、借地法第六条が適用されて、いわゆる法定更新が行われるものと解するのを相当とする。
罹災都市借地借家臨時処理法第二条により設定された借地権に借地法第六条の適用があるか。
罹災都市借地借家臨時処理法2条,罹災都市借地借家臨時処理法5条,借地法6条
判旨
罹災都市借地借家臨時処理法2条に基づき設定された賃借権についても、期間満了後に借地権者が土地の使用を継続する場合には、借地法6条(旧法)が適用され法定更新が認められる。
問題の所在(論点)
罹災都市借地借家臨時処理法という特別法に基づいて設定された賃借権について、期間満了後に借地法6条(旧法)の法定更新の規定が適用されるか、および土地所有者の異議に正当事由が必要とされるかが問題となった。
規範
罹災都市借地借家臨時処理法により設定された賃借権であっても、同法の趣旨(借地人の地位安定・建物築造の促進・戦災地復興)に照らせば、期間満了後も土地の使用を継続する場合、借地法6条(旧法)が適用され、土地所有者の異議に正当事由がない限り法定更新が認められると解するのが相当である。
重要事実
被上告人は、戦災により住居を失った借家人として、罹災都市借地借家臨時処理法2条に基づき本件土地に賃借権を設定した。同法5条により保障された存続期限である昭和32年10月1日を過ぎた後も、被上告人は本件土地の使用を継続していた。これに対し、土地所有者である上告人は異議を述べ、地上建物収去および土地明渡しを求めて提訴した。
事件番号: 昭和32(オ)46 / 裁判年月日: 昭和33年5月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】罹災都市借地借家臨時処理法施行前にされた土地賃借の申出は、同法2条所定の優先賃借の申出とは認められず、同法29条による存続期間経過後に優先賃借権を主張するには、法施行後に改めて申出を行う必要がある。 第1 事案の概要:上告人は、建物が滅失した土地について昭和21年3月頃に賃借の申出をしたが、これは…
あてはめ
被上告人は、本件土地の賃借権設定後に建物を築造・所有し、存続期間満了後も継続して使用している。罹災都市借地借家臨時処理法は戦災借家人の地位安定と復興協力を使命としており、この目的に応じて土地を使用する者には、一般の借地権と同様の保護を与えるべきである。本件において、上告人のなした異議には正当事由(借地法4条1項但書準用)が認められないため、当該異議は効力を生じず、法定更新が成立したと評価される。
結論
罹災法上の賃借権にも借地法(旧法)の法定更新の規定が適用される。本件では正当事由のない異議によって更新を拒絶できず、賃借権が存続するため、建物の収去および土地明渡しの請求は認められない。
実務上の射程
特別法に基づく権利であっても、その性質が借地権としての実態を有する限り、一般法である借地法の更新保護規定が排除されないことを示した。正当事由の判断においては、特別法の立法趣旨(被災者保護や復興)が考慮される点に実務上の意義がある。
事件番号: 昭和35(オ)336 / 裁判年月日: 昭和38年2月26日 / 結論: 棄却
建物所有を目的とする土地の賃貸借に関し、あらかじめ賃貸借の存続期間を定めなかつたときは、特段の事情のない限り、右賃貸借の期間は、借地法二条一項により、堅固建物については六〇年、非堅固建物については三〇年と法定され、民法第六〇二条所定の期間を超えるから、右賃借権の対抗要件具備が根抵当権設定登記後なされた場合には同法第三九…
事件番号: 昭和35(オ)1066 / 裁判年月日: 昭和37年2月6日 / 結論: 棄却
地主の長男が医学修業中であり、卒業後その土地で医業を開始することを予定していたので、借地期間を右医業開始確定の時までとするため、契約にあたり、地上に建築せらるべき建物を戦災復旧用建坪一五坪のバラツク住宅と限定し、特に一時使用を条件とする旨契約書に明記されていた場合には、たとえ右開業時期が明確に定まつていなかつたため、一…
事件番号: 昭和36(オ)1350 / 裁判年月日: 昭和37年11月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法に基づく更新拒絶の正当事由の有無は、諸般の事情を総合的に考慮して判断されるべきであり、賃貸人の生活維持のために土地を使用する必要性等の個別事情は、正当事由を構成する一判断要素として認められる。 第1 事案の概要:土地の賃貸人である被上告人が、借地期間の満了に伴い更新拒絶を主張して土地の明け渡…
事件番号: 昭和35(オ)850 / 裁判年月日: 昭和36年11月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建物賃貸借の更新拒絶に必要な「正当な事由」の有無は、賃貸人および賃借人双方の利害得失を比較考量して判断すべきである。賃貸人が賃料受領を明確に拒絶しているなどの事情がある場合、更新拒絶を認めるに足りる正当事由があるとは認められない。 第1 事案の概要:賃貸人(上告人)が、賃借人(被上告人)に対し、建…