新市町村建設促進法第二七条による投票において「ハ」のみを記載した投票は賛否何れであるか不明であるから無効である。
新市町村建設促進法第二七条による投票における「ハ」のみを記載した投票の効力。
新市町村建設促進法27条,公職選挙法67条
判旨
投票用紙の記載が「ハ」の一字のみであったり、その他の記載によっても反対の意思が明確に認められない場合、選挙人の意思を憶測して有効とすることはできず、当該投票は無効となる。
問題の所在(論点)
公職選挙法67条後段等の趣旨に照らし、特定の文字一字のみや不明瞭な記載がある投票について、選挙人の意思を尊重して有効とすべきか、それとも無効とすべきかが問題となった。
規範
公職選挙法に基づき、選挙人の意思が判断できる以上はその意思をなるべく尊重すべきであるが、いたずらに選挙人の意思を憶測することは許されない。投票が有効であるためには、客観的な記載内容によって、その選挙人のいかなる意思をもって記載したかを推認し得ることが必要である。
重要事実
村議会議員の解職請求(リコール)に関する投票において、「ハ」という一字のみが記載された投票用紙、およびその他二票の不明瞭な記載があった。これらについて、反対投票として有効とすべきかが争われた事案である。原判決は、これらの投票を無効と判断していた。
事件番号: 昭和35(オ)493 / 裁判年月日: 昭和35年9月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法上の投票の効力判定において、候補者の氏名を正確に記載していない投票であっても、その記載内容から特定の候補者を指すと客観的に認められる場合には、当該候補者に対する有効投票として認められる。 第1 事案の概要:村議会議員選挙において、被上告人(候補者)に対するものと考えられる投票の中に、「D…
あてはめ
まず、「ハ」の一字のみの記載については、それ自体では何の意味も持ち得ない。また、他の二票についても、客観的な記載から「反対」の意思を表明したものと認めることは困難である。選挙人の意思を尊重すべきとの原則はあるものの、本件の記載内容からは、いかなる意思をもって記載したかを合理的に推認し難い。したがって、これらを反対投票として有効に扱うことはできず、無効と解するのが相当である。
結論
本件の各投票は、記載内容から選挙人の意思を推認することができないため、無効である。
実務上の射程
自書式投票において、判読困難な記載や極めて断片的な記載がある場合の効力判断の限界を示したもの。答案上は、公職選挙法の「選挙人の意思尊重」と「憶測の禁止(客観的判断)」のバランスを論じる際の規範として活用できる。
事件番号: 昭和35(オ)871 / 裁判年月日: 昭和35年12月2日 / 結論: 棄却
a組が候補者A久市が代表取締役である会社名であるとしても、他の候補者A道徳の氏名を明記しa組を附記した投票は右A久市に対する有効投票とはいえない。
事件番号: 昭和35(オ)711 / 裁判年月日: 昭和35年10月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】投票用紙に候補者の氏名のほか「江」という敬称を付す記載は、公職選挙法68条5号の他事記載に該当し無効である。一方で、氏名の誤記や他候補者の氏名との混同がある場合でも、他候補者の氏名等と比較して特定の候補者に対する投票意思が認められれば有効となる。 第1 事案の概要:村長選挙の効力に関する訴訟におい…
事件番号: 昭和35(オ)442 / 裁判年月日: 昭和35年10月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】選挙人の意思を可能な限り尊重し、記載から特定の候補者を選ぶ意思が確認できる場合は有効とすべきであるが、同一の氏を称する候補者が複数存在する状況下で、記載された名が特定の候補者のものと認められず、かつ他候補者との区別が不明な投票は、無効と解するのが相当である。 第1 事案の概要:本件選挙には、「D」…
事件番号: 昭和37(オ)605 / 裁判年月日: 昭和37年12月25日 / 結論: 棄却
直接請求の署名簿そのものの効力を争うについても、地方自治法第二五五条の四の適用があり、同法第七四条の二の規定によつてのみ争訟を提起することができる。