食品衛生法第二一条による食肉販売の営業許可を受けない者のした食肉の買入契約は無効ではない。
食品衛生法第二一条による食肉販売の営業許可を受けない者のした食肉買入契約の効力。
食品衛生法21条,食品衛生法施行令5条9号,民法90条
判旨
食品衛生法は単なる取締法規にすぎないため、同法に基づく食肉販売業の許可を受けていない者が行った精肉の売買契約であっても、その私法上の効力は否定されない。
問題の所在(論点)
食品衛生法上の許可を受けずに営業を行うことを禁止する規定(取締法規)に違反してなされた売買契約は、民法上の私法上の効力(有効性)を失うか。
規範
行政上の取締を目的とする法規(取締法規)に違反する行為であっても、当該規定が公の秩序に関する強行規定(公序良俗)に反すると認められる場合を除き、直ちにその私法上の効力が否定されるものではない。当該法規が単なる取締法規にとどまる場合は、私法上の効力に影響を及ぼさない。
重要事実
上告人は食肉販売業の許可を受けていなかったが、精肉の売買取引を行った。上告人は、食品衛生法に基づく許可がないことを理由に、当該売買契約の無効を主張した。なお、関連する訴外会社は許可を得て自衛隊に精肉を納入していた事実はあるが、本件売買の主体が誰であるかについては事実認定の問題とされた。
あてはめ
食品衛生法は、飲食による危害の発生を防止し公衆衛生の向上を図ることを目的とする単なる取締法規である。そのため、食肉販売業の許可の有無は、行政上の制裁の対象にはなり得ても、取引当事者間の合意に基づく売買契約の私法上の効力を直接左右する性質のものではない。したがって、無許可営業による取引であっても、直ちに公序良俗に反し無効となるものではない。
結論
本件売買契約の効力は否定されず、有効である。食肉販売業の許可の有無は、本件取引の私法上の効力に消長を及ぼさない。
実務上の射程
行政法規違反の私法上の効力が問題となる場面で、当該法規を「取締法規」と「効力法規」に峻別する古典的な判断枠組みとして活用できる。特に食品衛生法違反については、原則として私法上の効力に影響しないことを示す標準的な射程を持つ。
事件番号: 昭和27(オ)894 / 裁判年月日: 昭和30年9月30日 / 結論: 棄却
臨時物資需給調整法に基く加工水産物配給規則第二条によつて指定された物資については、法定の除外事由その他特段の事情の存しない限り、同規則第三条以下所定の集荷機関、荷受機関、登録小売店舗等の機構を通ずる取引のみが有効であつて、右以外の無資格者による取引は無効と解すべきである。