一 二四時間以上の予告期間の記載を欠く書面による船員雇入契約の解除申入は、右書面交付の時から二四時間を経過した時に解除の効力を生ずるものと解すべきである。 二 雇止手当または送還手当の支払は、船員雇入契約解除の効力発生要件ではない。
一 二四時間以上の予告期間の記載を欠く書面による船員雇入契約の解除申入の効力。 二 雇止手当または送還手当の支払は船員雇入契約解除の効力発生要件か。
船員法42条,船員法46条,船員法47条,船員法48条,船員法49条
判旨
船員法に基づく雇入契約の解除において、書面に予告期間の記載がなくても解除申入自体は無効とならず、また雇止手当等の支払は解除の効力発生要件ではない。
問題の所在(論点)
船員法42条所定の書面による雇入契約解除において、予告期間の記載を欠く書面による通知が有効か。また、同法46条等に基づく諸手当の支払は解除の効力発生要件となるか。あわせて権利濫用や不当労働行為の成否が問題となる。
規範
1. 船員法42条に基づく書面による解除申入において、書面に24時間以上の予告期間の記載を欠く場合であっても、解除申入自体が無効となるものではなく、書面交付時から24時間を経過することによって解除の効力を生ずる。2. 船員法46条ないし49条に基づく雇止手当や送還手当の支払義務は、解除申入に伴い遅滞なく履行すべきものに留まり、これらの支払は解除の効力発生要件ではない。
重要事実
上告人と雇用関係にあった側(日本政府に代わる米駐留軍係官)が、上告人に対し下船命令(雇入契約解除申入)を記載した文書を交付した。当該文書には船員法が定める24時間以上の予告期間の記載がなく、また解除に伴う雇止手当や送還手当も解除申入と同時には支払われていなかった。上告人は、予告期間の記載欠如による手続不備や手当支払の欠如、さらには権利濫用等を理由に、当該解除の無効を主張した。
あてはめ
予告期間の記載欠如については、船員保護の趣旨に照らせば、記載がないからといって直ちに無効とする必要はなく、現実の通知から所定の猶予期間(24時間)が経過すれば効力を生ずると解するのが合理的である。また、諸手当の支払義務は解除後の事後的な義務であり、履行が解除の前提となる性質のものではない。本件では、米駐留軍係官による文書交付をもって書面による通知があったと認められ、また認定された諸事情に照らせば、本件解除が正当な事由を欠く権利濫用や不当労働行為に当たるとはいえない。
結論
本件解除申入は有効である。予告期間の記載欠如は実質的な期間経過により補完され、手当の不払も解除の効力を左右しない。また、権利濫用等の主張も認められない。
実務上の射程
船員法特有の契約解除に関する判例であるが、労働法一般における解雇予告の効力(予告期間を置かない解雇も即時解雇手当の支払や期間経過で有効となる法理)や、退職金等の支払と解雇の効力との関係(別個の問題であること)を検討する際の類推指針として活用できる。答案上は、形式的不備や付随的義務の不履行が直ちに解除という法律行為を無効にするものではないことを示す論拠となる。
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