控訴の申立がある以上控訴裁判所はその当否について判断し応答すべきものであつて、控訴棄却の申立はなくても、控訴の理由がないと認められるときは、その旨の裁判をすることができる。
控訴棄却の申立なしにその判決をすることと民訴法第一八六条。
民訴法186条,民訴法377条,民訴法384条
判旨
控訴審裁判所は、被控訴人から控訴棄却の申立てがなされていない場合であっても、控訴に理由がないと認めるときは、職権により控訴棄却の判決をすることができる。裁判所は、控訴の申立てがなされた以上、その当否について判断し応答する義務を負うためである。
問題の所在(論点)
控訴審において、被控訴人による控訴棄却の申立て(申立事項)がない場合に、裁判所が職権で控訴棄却の判決をすることが処分権主義に反し許されないか。
規範
控訴審裁判所は、控訴の申立てがなされた以上、その当否について判断し、応答する職務上の義務を負う。したがって、被控訴人からの明示的な控訴棄却の申立てがなくとも、裁判所が控訴に理由がないと認める場合には、民事訴訟法(現行302条1項)に基づき控訴棄却の判決をなしうる。
重要事実
上告人(控訴人)が控訴を提起した事案において、原審(控訴審)は控訴棄却の判決を言い渡した。これに対し上告人は、被控訴人から控訴棄却の申立てがなされていないにもかかわらず控訴棄却の判決をしたことは、当時の民事訴訟法186条(現行の処分権主義に関連する規定)に違反する違法なものであると主張して、上告を提起した。
あてはめ
控訴が提起されたことにより、事件は当然に控訴審の審判対象となる。裁判所は、訴えの提起と同様に、控訴という不服申立てがなされた以上、これに対して適法か否か、あるいは理由があるか否かを判断し応答する義務を負う。この応答義務は訴訟法上の公権的な職務であり、相手方(被控訴人)による特定の申立てを待って初めて発生するものではない。したがって、控訴に理由がないと判断される場合に「控訴棄却」という形式で応答することは、裁判所の当然の権限かつ義務である。
結論
被控訴人による控訴棄却の申立てがなくとも、裁判所は控訴を棄却することができ、処分権主義に反する違法はない。
実務上の射程
本判決は、処分権主義(民訴法146条、246条参照)の範囲と、裁判所の応答義務の関係を明確にしている。答案上は、申立事項の範囲(246条)の問題として、控訴審における審判の範囲や方式を論じる際の基礎知識として活用できる。特に、被控訴人が欠席した場合や答弁を行わない場合であっても、控訴棄却が可能であることを理論づける際に有用である。
事件番号: 昭和32(オ)16 / 裁判年月日: 昭和35年7月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】適式な期日変更申請がなされた形跡がない場合には、裁判所が期日を変更せずに弁論を終結し、控訴を棄却したとしても、手続上の違法は認められない。 第1 事案の概要:上告人の控訴審において、上告人の代理人が適式な期日変更申請を行ったと主張したが、裁判所はこれを許さずに弁論を終結させ、上告人の控訴を棄却した…