約束手形の裏書欄に、拒絶証書作成不要の文句を記載する場合には、必ずしも特別の署名をする必要はなく、裏書自体に署名するをもつて足りると解すべきである。
拒絶証書作成不要文句の記載方法。
手形法77条,手形法46条
判旨
約束手形の裏書欄に拒絶証書作成不要文句が記載された場合、裏書人は裏書のための署名をもって当該文句の記載者の署名を兼ねることができる。
問題の所在(論点)
手形法46条の「拒絶証書作成不要」の文句を記載した者による署名は、裏書のための署名とは別に、独立してなされる必要があるか。
規範
手形法77条1項4号・46条により拒絶証書作成不要文句には記載者の署名が要求されるが、必ずしも常に独立した特別の署名を要するものではない。当該文句が裏書欄になされる場合には、裏書自体の署名をもってこれを兼ねることができると解するのが相当である。
重要事実
約束手形の裏書人である上告人が、裏書欄において指図文句とともに「拒絶証書作成不要」という文句を記載した。しかし、当該文句に対して独立した署名はなされておらず、裏書としての署名が一個存在するのみであった。このため、拒絶証書作成不要文句の有効性が争われた。
あてはめ
本件において、上告人は裏書人として手形に署名している。裏書欄に指図文句と並べて拒絶証書作成不要文句を記載していることから、その一個の署名は、裏書としての意思表示と、拒絶証書作成を免除する意思表示の両方を兼ねるものと評価できる。したがって、署名が一つであっても法的な不備はない。
結論
裏書人は一個の署名をもって、裏書と拒絶証書作成不要文句の記載の双方を有効に行うことができる。
実務上の射程
手形行為における署名の流用(一事象二評価)を認めた判例である。答案上は、拒絶証書作成不要文句の有効要件として署名が必要であることを指摘した上で、裏書の署名との重畳的評価が可能であることを示す際に引用すべきである。
事件番号: 昭和32(オ)300 / 裁判年月日: 昭和34年6月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】手形上の裏書が口頭弁論終結時までに適法に抹消された場合には、当該裏書は存在しないものとみなされるため、裏書不連続の抗弁は理由を欠くこととなる。 第1 事案の概要:振出人である上告人に対し、受取人である被上告会社が手形金の支払を求めた。本件各手形には、被上告会社から訴外D、訴外Dから訴外E銀行、訴外…