連帯債務者の一人が死亡し、その相続人が数人ある場合に、相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となると解すべきである。
連帯債務の相続。
民法427条,民法432条,民法898条,民法899条
判旨
連帯債務者の一人が死亡した場合、その債務は法律上当然に分割され、各相続人はその相続分に応じて承継した範囲においてのみ、本来の債務者とともに連帯債務を負担する。
問題の所在(論点)
連帯債務者の一人が死亡した場合、その相続人は被相続人の連帯債務全額を承継するのか、あるいは相続分に応じて分割された範囲でのみ承継し、その範囲で連帯債務を負うにとどまるのか。
規範
金銭債務その他の可分債務は、債務者が死亡し相続人が数人ある場合、法律上当然に分割され、各共同相続人がその相続分に応じてこれを承継する。連帯債務であっても、各債務は可分な金銭債務と同様であるから、相続人は承継した範囲においてのみ、他の債務者とともに連帯債務者となる。
重要事実
債権者Dは、E、F、およびFの妻A1を連帯債務者として18万3000円を貸し付けた。その後、連帯債務者の一人であるFが死亡し、その子であるA2、A3、A4、Gの4名が相続した。被上告人(債権譲受人)は、相続人らに対し、各々が債務全額について連帯債務を負うと主張して支払いを求めた。
あてはめ
本件におけるFの債務は、相続人であるA1(妻)およびA2ら(子)に相続される。A1は元来の連帯債務者として全額の責任を負うが、相続によって承継したFの債務分については、特段の事情がない限り相続分に応じて分割される。Fの子であるA2、A3、A4は、各々の相続分(本件ではFの債務の6分の1ずつ)の範囲においてのみ、他の債務者とともに連帯債務を負担すると解される。
結論
連帯債務者の相続人は、相続分に応じて分割承継した債務の範囲でのみ、他の債務者と連帯して債務を負担する。したがって、相続分を超えて全額の支払いを命じた原判決は誤りであり、破棄を免れない。
実務上の射程
可分債務(金銭債務)が当然分割されるという原則を連帯債務にも適用した。答案上は、債務者の死亡により連帯債務が相続される場面で、共同相続人が「連帯して全額」を負うのではなく、各々の承継した「分割債務の範囲で連帯」することを明示するために用いる。
事件番号: 昭和36(オ)1357 / 裁判年月日: 昭和37年11月1日 / 結論: 棄却
債権者と債務者間との間に数口の債務がある場合に債務者のなす給付をどの債務の弁済に充当するかは両者間の契約により定めうるところであり、これにより弁済充当のなされなかつた債務の連帯保証人が免責を受けないことになつてもやむを得ない。