合資会社の社員の決議については、予め社員に対し、相当期間を定めて決議事項を通知することは、法律上必要ではない
合資会社の社員の決議と社員に対する予めの通知の要否
商法68条,商法86条1項,商法147条,商法232条1項,商法232条2項,民法62条
判旨
合資会社の社員の除名決議において、定款や商法に別段の定めがない限り、株式会社における株主総会の招集通知のような手続は法律上必要ではなく、除名事由が存在する場合には当該決議は有効である。
問題の所在(論点)
合資会社における社員の除名決議において、株式会社等の招集通知手続に関する規定が類推ないし準用されるか。また、競業避止義務違反等の事実がある場合に除名が認められるか。
規範
合資会社の内部関係については、定款または商法の別段の規定がない限り、組合に関する民法の規定を準用する(旧商法68条、147条)。除名等の決議手続に関し、株式会社の株主総会招集通知(旧商法232条)や法人の社員総会招集通知(旧民法62条)のような規定は合資会社には準用されず、特段の事情がない限り、同様の通知手続を履践することは法律上の要件ではない。
重要事実
被上告人である合資会社は、上告人(社員)に対し除名決議を行った。上告人は、自己または第三者のために会社の営業の部類に属する取引を行い、かつ同種の営業を目的とする他社の取締役に就任していた。また、取引先に対して会社に不利益な書面を配布する等の行為も認められた。上告人は、本件除名決議に際して招集通知等の手続が欠如しており無効であると主張して争った。
あてはめ
合資会社は持分会社としての性格を有し、その内部関係には組合規定が準用される。法律上、招集通知手続を強制する規定はないため、通知を欠いたとしても直ちに決議が条理に反し無効となるわけではない。本件では、上告人が競業避止義務に違反して他社の取締役に就任し、会社の利益を害する書面を配布したという事実が認められる。これらの事実は社員としての信頼関係を破壊する重大な事由であり、除名決議を正当化する。
結論
除名決議に招集通知手続は不要であり、競業避止義務違反等の事由がある本件除名決議は有効である。上告人を被上告会社から除名する旨の判断は維持される。
実務上の射程
持分会社(合資・合同・合名)における意思決定手続の柔軟性を確認した判例である。現行会社法下でも、持分会社の内部規律は定款自治が原則であり、株式会社のような厳格な招集手続(会社法299条等)は当然には適用されない。ただし、社員の除名については現在、会社法859条により裁判への訴え(除名の訴え)が必要とされており、本判決当時の決議による除名実務とは手続が異なる点に注意を要する。
事件番号: 昭和31(オ)982 / 裁判年月日: 昭和33年5月20日 / 結論: 棄却
合資会社の社員の間に不和対立があつて、その儘の状態では会社を存続させることが困難であつても、現に社員の一名が除名される情勢にあり、右除名によつて十分打開の途があると認められるときは、商法第一一二条第一項所定の会社の解散につき「やむことを得ざる事由あるとき」に該当しないものと解するを相当とする
事件番号: 昭和34(オ)250 / 裁判年月日: 昭和36年11月24日 / 結論: 棄却
一 訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合でも、その第三者は、当該訴訟の当事者となりうる適格を有しないかぎり、民訴第七五条の規定により、共同訴訟人として当該訴訟に参加することができない。 二 株主総会決議取消訴訟において被告となりうる者は、当該株式会社に限られる。
事件番号: 昭和50(オ)157 / 裁判年月日: 昭和50年6月27日 / 結論: 棄却
取締役の解任を目的とする臨時総会の招集は、少数株主による招集請求に基づくときでも、商法二七一条一項にいう会社の常務に属さない。
事件番号: 昭和28(オ)1430 / 裁判年月日: 昭和30年10月20日 / 結論: 棄却
一 商法旧第二〇六条(昭和二五年法律第一六七号による改正前のもの)の施行当時、記名株式の譲渡があつたにかかわらず株主名簿の名義書換が会社の都合でおくれていても、会社が右譲渡を認め譲受人を株主として取り扱うことは妨げないと解するのが相当である。 二 株主総会決議取消の訴において、当該決議に取消の原因となるべき違法の点があ…