取締役の解任を目的とする臨時総会の招集は、少数株主による招集請求に基づくときでも、商法二七一条一項にいう会社の常務に属さない。
少数株主の請求に基づく取締役解任を目的とする臨時総会の招集と商法二七一条一項の会社の常務
商法232条,商法235条,商法237条,商法270条,商法271条
判旨
取締役の解任を目的とする臨時株主総会の招集は、少数株主による招集請求に基づくものであっても、商法271条1項(現・会社法352条1項)にいう「会社の常務に属しない行為」に該当する。
問題の所在(論点)
取締役の職務執行停止および職務代行者が選任されている場合において、取締役の解任を目的とする臨時株主総会を招集する行為が、仮処分による制限を受ける「会社の常務に属しない行為」に当たるか。特に、少数株主の招集請求に基づく場合にその性質が変化するか。
規範
「会社の常務」とは、当該会社として日常的に行われるべき通常の業務をいう。取締役の解任を目的とする臨時総会の招集は、その性質上、日常・通常の業務には当たらないと解すべきである。また、招集行為の性質は、招集の契機が少数株主による招集請求(会社法297条)に基づくものであるか否かによって左右されるものではない。
重要事実
上告人の会社において、少数株主が取締役の解任を目的とする臨時株主総会の招集を請求した。これを受け、取締役の職務代行者が当該臨時総会の招集を行った。この招集行為が、職務代行者の権限範囲内である「会社の常務に属する行為」に該当するかが争われた(旧商法271条1項、現会社法352条1項の解釈)。
事件番号: 昭和34(オ)250 / 裁判年月日: 昭和36年11月24日 / 結論: 棄却
一 訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合でも、その第三者は、当該訴訟の当事者となりうる適格を有しないかぎり、民訴第七五条の規定により、共同訴訟人として当該訴訟に参加することができない。 二 株主総会決議取消訴訟において被告となりうる者は、当該株式会社に限られる。
あてはめ
会社の常務は日常的な通常業務を指すが、取締役の解任は会社の経営体制に根本的な変更を迫るものであり、日常業務の範囲を逸脱している。少数株主による適法な招集請求があったとしても、それに応じる招集行為自体の性質が「常務」へと変質するわけではない。したがって、本件の総会招集は、日常業務を超える「常務に属しない行為」であると評価される。
結論
取締役の解任を目的とする臨時株主総会の招集は、少数株主の請求に基づく場合であっても、会社の常務に属しない行為に当たる。
実務上の射程
職務代行者の権限逸脱を論ずる際のリーディングケースである。答案上は、職務代行者が行う行為が「常務」に当たるか否かの判断において、行為の日常性・定型性を基準とすることを示すために用いる。会社支配権争いにおける総会招集の特殊性を強調する文脈で有効である。
事件番号: 昭和35(オ)1447 / 裁判年月日: 昭和39年5月21日 / 結論: 棄却
一 有限会社の代表取締役職務代行者が臨時社員総会を招集した場合でも、該総会における決議は、当然無効と解すべきではなく、商法第二四七条所定の決議取消の訴によつて取り消しうるにすぎないものと解すべきである。 二 仮処分により代表取締役の職務の執行を停止された者が代表者としてなした行為は、無効であつて、後に仮処分が取り消され…
事件番号: 平成27(受)1431 / 裁判年月日: 平成28年3月4日 / 結論: 棄却
ある議案を否決する株主総会等の決議の取消しを請求する訴えは不適法である。 (補足意見がある。)
事件番号: 昭和29(オ)643 / 裁判年月日: 昭和31年11月15日 / 結論: 棄却
一 昭和二五年法律第一六七号による改正前の商法第二五一条が削除された後は、裁判所に右削除前と同様な裁量権があると解すべきではない。 二 予め株主総会決議事項の通知をしなかつたというような軽微でない手続上の瑕疵があるときは、裁判所は右決議取消の請求を認容すべきである。