合資会社の社員の間に不和対立があつて、その儘の状態では会社を存続させることが困難であつても、現に社員の一名が除名される情勢にあり、右除名によつて十分打開の途があると認められるときは、商法第一一二条第一項所定の会社の解散につき「やむことを得ざる事由あるとき」に該当しないものと解するを相当とする
合資会社解散のやむことを得ない事由に該当しないと認められた一事例
商法112条1項,商法147条
判旨
持分会社において、社員間の不和対立等により会社の存続を困難ならしめる事情があっても、社員の除名等によりその事態を打開できる場合には、解散請求の要件である「やむを得ない事由」があるとは認められない。
問題の所在(論点)
社員間の対立により会社の存続が困難な状況にある場合、特定の社員を除名する方法などの打開策が残されているときでも、会社法上の解散請求の要件である「やむを得ない事由」が認められるか。
規範
持分会社の解散請求(商法112条1項、現行会社法833条2項)にいう「已ムコトヲ得ザル事由アルトキ」(やむを得ない事由があるとき)とは、会社の目的達成が著しく困難となり、または不能となった場合をいうが、特定の社員を排斥・除名するなど、他に事態を打開する適切な途があるときには、当該事由には該当しない。
重要事実
上告人は、被上告会社(持分会社)において社員間の深刻な不和対立が生じ、会社の存続が困難であるとして解散を請求した。しかし、対立の主要原因である訴外Dについては、被上告会社から除名の訴えが提起され、既に一審で除名を宣告する判決が言い渡されていた。この除名判決は未確定であったが、除名が実現すれば不和対立の原因は失われる状況にあった。
あてはめ
本件において、社員Dは除名を免れない事情があり、既に除名を宣告する一審判決がなされている。除名判決が確定すれば社員間の不和対立の原因は解消されるため、会社の存続を困難ならしめる事情は、Dを除名する方法によって十分に打開し得ることが明白である。たとえ除名判決が確定前であっても、他にこのような打開の途がある以上、客観的に見て会社の存続が絶望的であるとはいえない。
結論
他に事態を打開する途があるときは、会社の解散請求につき「やむを得ない事由があるとき」に該当しない。したがって、本件解散請求は認められない。
実務上の射程
持分会社や閉鎖的株式会社における解散請求の「最後手段性(補充性)」を裏付ける判例として重要である。実務上は、解散を求める前に、社員の除名や持分の払戻し、役員選任による解決などの代替手段を検討し尽くしたかどうかが判断のポイントとなる。
事件番号: 昭和31(オ)983 / 裁判年月日: 昭和33年5月20日 / 結論: 棄却
合資会社の社員の決議については、予め社員に対し、相当期間を定めて決議事項を通知することは、法律上必要ではない
事件番号: 昭和58(オ)1562 / 裁判年月日: 昭和62年1月22日 / 結論: 棄却
合資会社の社員の金銭出資義務の履行期につき定款又は総社員の同意による定めがない場合において、出資義務の履行請求前に社員が退社したときは、右社員の会社に対する持分払戻請求権は成立しない。