民訴第三八三条により口頭弁論を経ないで判決することができる場合は、あらかじめその言渡期日を告知する必要はない
民訴法第三八三条による判決とその言渡期日の告知
民訴法383条
判旨
当事者が移転先等の通知を怠った結果、書類が返戻され送達不能となった場合には「送達をなすべき場所を知ることができないとき」にあたり公示送達をなし得る。また、不適法な控訴を口頭弁論を経ずに判決で却下する場合、判決言渡期日の呼出しは不要である。
問題の所在(論点)
1.当事者の不通知により送達不能となった場合に公示送達をなすことの適否、および期間徒過が「責めに帰すべからざる事由」にあたるか。 2.口頭弁論を経ずに控訴却下判決をする際、判決言渡期日の呼出告知を要するか。
規範
1.公示送達の要件である「送達をすべき場所を知ることができないとき」(民訴法110条1項1号)とは、客観的に送達場所が不明であるだけでなく、当事者が通知義務を怠り送達不能を招いた場合も含まれる。 2.不適法な控訴で補正不能なものを口頭弁論を経ずに判決で却下する場合(民訴法290条参照)、判決言渡期日の呼出しを要しない。
重要事実
上告会社に対する書類送達は、登記上の本店所在地においてなされていたが、移転先不明で返戻された。その後、代表者の届出住所に送達されたが、これも転居先不明で返戻された。代表者は事務所の移転や送達受取人の転居に際し、裁判所への通知を怠っていた。第一審は公示送達を許可し、上告会社は上訴期間を徒過した。また、原審(控訴審)は口頭弁論を経ず控訴を却下したが、判決言渡期日の呼出しを行っていなかった。
事件番号: 昭和31(オ)124 / 裁判年月日: 昭和32年9月17日 / 結論: 棄却
売買を原因として所有権移転登記手続の履行を命じる判決をなす場合、売買の日附は、必ずしも主文に表示する必要なく、理由中に明示されておれば足りる。
あてはめ
1.上告会社は移転の事実を通知する措置を講じておらず、送達不能は自らの不作為に起因する。したがって「送達をなすべき場所を知ることができない」としてなされた公示送達は適法であり、期間徒過も自らの責めに帰すべきものといえる。 2.控訴が不適法で補正不能な場合、民事訴訟法(旧383条、現290条)により無弁論却下が可能である。この場合、審理が熟しているため、あえて言渡期日を呼出す必要性はないと解される。
結論
公示送達の手続きは適法であり、上告会社に責めに帰すべき事由がある。また、無弁論による控訴却下判決において言渡期日の呼出しを欠いても違法ではない。
実務上の射程
公示送達の適法性判断における「当事者の通知義務」の重要性を示す。実務上、住所変更を届け出ない当事者に対する公示送達の有効性を裏付ける判例である。また、民訴法290条による無弁論判決の際の手続的要件(呼出不要)を明確化している。
事件番号: 昭和34(オ)229 / 裁判年月日: 昭和37年3月16日 / 結論: 棄却
一 訴訟代理人に対して、口頭弁論期日の呼出状の送達がなされなかつたが、同代理人が同期日前に裁判所に出頭して受任事件記録を閲覧した際、同期日の指定を知つたが期日には出頭しなかつたときには、同代理人は同期日に出頭して同期日呼出手続の違法について異議を述べる機会があつたにもかかわらず、これをしなかつたのであるから、右違法につ…
事件番号: 昭和39(オ)1074 / 裁判年月日: 昭和40年10月19日 / 結論: 棄却
一 上告人(控訴人)訴訟代理人の所為が、上告理由第一点記載の通りであつたか否かを問わず、当事者双方が口頭弁論期日に不出頭の場合、民訴法第一二七条の釈明権の行使として、当事者に対し、所論のごとき処置を採るべき裁判所の義務は存しない。 二 当事者双方が口頭弁論期日に不出頭の場合、証拠調の施行など、裁判所が職権で施行すべき手…
事件番号: 昭和41(オ)935 / 裁判年月日: 昭和42年2月24日 / 結論: 棄却
被告とその法定代理人が住民登録をした場所に居住し、原告が訴提起直前に右居住の場所に被告の法定代理人を訪ねて訴の目的である債務の履行につき折衝したことがあつたにもかかわらず、原告から訴状の受送達者の住所が不明であるとして公示送達の申立がされ、よつて被告の法定代理人に対する第一審判決正本の送達にいたるまでのすべての書類の送…
事件番号: 昭和30(オ)703 / 裁判年月日: 昭和33年2月13日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】履行不能による損害賠償額を算定する基準となる目的物の価格について、特段の事情がない限り短期間で大幅に騰貴することは考え難い。そのため、近接した時期の認定価格に著しい乖離がある場合、その合理的な理由を明らかにすべきである。 第1 事案の概要:被上告人が第三者Dに不動産を売却したことで履行不能となった…