自作農創設特別措置法第一九条に基く農地売渡計画に関する訴願裁決の取消を求める訴は、農地法の施行によつてその利益を失う
農地法の施行と農地売渡計画に関する訴願裁決の取消を求める訴の利益
自作農創設特別措置法19条,農地法施行法3条
判旨
行政処分の取消訴訟において、訴訟継続中に根拠法が廃止され、処分が将来に向かって効力を失い、かつ判決でこれを取り消しても回復すべき法的利益が認められない場合には、訴えの利益は消滅する。
問題の所在(論点)
処分の根拠法が廃止され、当該処分(売渡計画)が効力を失った場合において、当該処分に関する裁決の取消しを求める訴えの利益が認められるか。
規範
行政処分の取消しを求める訴えについて、処分の根拠となる法規が廃止され、その後の法律の経過措置等に照らして当該処分が将来に向かって効力を失う場合、当該処分を取り消したとしても、それによって回復されるべき権利や法的利益が認められないときは、訴えの利益は失われる。
重要事実
上告人らは、自作農創設特別措置法(自創法)に基づき策定された農地売渡計画を取り消した訴願裁決の取消しを求めて提訴した。しかし、原審継続中に農地法施行法が施行されたことで自創法は廃止された。同法施行法によれば、売渡通知書の交付がない農地については、従前の自創法に基づく売渡計画はその効力を失い、改めて農地法に基づく手続が必要とされることになっていた。本件農地については売渡通知書が未交付の状態であった。
あてはめ
農地法施行法1条により自創法は廃止され、同法3条の経過措置によれば、売渡通知書が未交付の本件農地については、自創法上の売渡計画はその効力を失うと解される。仮に判決で訴願裁決を取り消して売渡計画を形式的に復活させたとしても、その計画は新法(農地法)下の手続において何ら効力を持つものではない。また、売渡計画は売渡手続の一段階に過ぎず、それ自体で権利を形成するものでもない。したがって、裁決を取り消すことによって得られる法的利益は存在しないといえる。
結論
本件訴願裁決の取消しを求める訴えは、訴えの利益を欠くため不適法である。
実務上の射程
処分後に事情変更(法の改廃や目的物の滅失等)が生じた場合の「訴えの利益」に関する重要判例である。単に形式的に処分が取り消されることへの期待ではなく、取消しによって原告の権利・利益が実質的に回復されるかどうかを基準とする。答案上は、現時点での権利救済の必要性を検討する際の規範として活用できる。
事件番号: 昭和28(オ)115 / 裁判年月日: 昭和30年3月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別事情による仮処分の取消しの審理において、裁判所は被保全権利の存否等を判断する必要はなく、もっぱら特別事情の有無を判断すべきである。また、被保全権利が金銭的補償によってその終局の目的を達し得る場合には、特別事情の存在が認められる。 第1 事案の概要:上告人(債権者)による仮処分命令に対し、相手方…
事件番号: 昭和27(オ)75 / 裁判年月日: 昭和28年12月25日 / 結論: 破棄自判
自作農創設特別措置法第六条の三による遡及買収計画の指示をしない旨の都道府県農業委員会の決定の取消を求める訴は、同法の廃止により、その利益が失われる。