不当労働行為の救済申立を棄却する地方労働委員会の命令に対する出訴については、行政事件訴訟特例法第二条に従い、まず中央労働委員会への再審査申立の手続を経由すべきものであり、労働組合法第二七条第一一項は、右命令に対する不服方法として、中央労働委員会への再審査の申立と訴の提起とを選択的に認めた趣旨と解すべきではない。
不当労働行為の救済申立を棄却する地方労働委員会の命令に対する出訴につき、中央労働委員会への再審査申立の手続を経由することの要否。
労働組合法27条
判旨
労働者側が地労委の不当労働行為救済棄却命令を争うには、中労委への再審査申立を経る必要があり、中労委規則が定める再審査申立期間は法の趣旨に反せず有効である。
問題の所在(論点)
1. 労働者側による地労委命令への不服申立てにおいて、中労委への再審査申立は行政訴訟を提起するための必須の前提手続(審査請求前置)か。 2. 中労委規則が再審査申立期間を法に定める初審申立期間(1年)より短く設定することは、委任の範囲を超え無効となるか。
規範
1. 労働者側が地方労働委員会の棄却命令に対し訴えを提起するには、再審査の手続を経由すべきであり、期間内に再審査の申立をしない場合は、特段の事情がない限り訴えの提起は許されない(訴願前置主義)。 2. 中央労働委員会規則が再審査申立期間を定める際、その期間を事実上不可能ならしめる程度に短縮することは許されないが、使用者側の申立期間(15日)と比較して同程度に限定することは法の趣旨に反せず、有効である。
重要事実
地方労働委員会による不当労働行為の救済申立棄却命令を受けた労働者側(上告人)が、中央労働委員会への再審査請求を経ることなく、または所定の申立期間を経過した後に、当該命令の取消しを求めて訴えを提起した。上告人は、労働組合法27条の規定により再審査と出訴は選択的であるべきであり、また中労委規則が定める短い申立期間は無効であると主張した。
事件番号: 昭和31(オ)58 / 裁判年月日: 昭和32年12月24日 / 結論: 破棄差戻
一 使用者は、不当労働行為の救済命令が労働組合法第二条の要件を欠く組合の申立に基き発せられたことのみを理由として、右命令の取消を求めることはできない。 二 不当労働行為の救済命令発付の前提としてなされる申立組合の資格認定については、中央労働委員会規則第二五条の適用はない。
あてはめ
1. 労働組合法27条11項の解釈として、使用者側と労働者側の地位の差異に鑑み、労働者側の不服については行政救済の一般原則(前置主義)を適用するのが相当である。同条6項のような選択的規定は労働者側には適用されない。 2. 労働組合法27条2項は初審の期間を定めるものであり、再審査には適用されない。規則による期間制限も、使用者側に課された15日という期間と比較して著しく不合理でない限り、申立を事実上不可能にするものとはいえず、適法な裁量の範囲内である。
結論
労働者側による直接の訴え提起は認められず、また再審査申立期間を限定した規則も有効であるため、手続を欠いた本件訴えは不適法である。
実務上の射程
労働委員会命令に対する救済手続において、労働者側には審査請求前置(中労委への再審査)が適用されることを明示した点に意義がある。行政事件訴訟法に基づく現行制度下でも、個別法に前置義務がある場合の出訴要件の検討において参照されるべき判断枠組みである。
事件番号: 昭和29(オ)904 / 裁判年月日: 昭和30年12月6日 / 結論: 棄却
行政処分に対する異議の申立が、申立期間経過後約三年一〇ケ月を経てなされ、しかもとくにこれを受理すべき宥怒事由も存しない場合には、異議決定庁が申立を受理し棄却の決定をし、これに対する訴願を訴願庁が受理し棄却の裁決をしたとしても、原処分はすでに確定しているもとの解すべきであるから、右裁決の取消を求める法律上の利益は存しない…
事件番号: 昭和28(オ)251 / 裁判年月日: 昭和30年1月28日 / 結論: 破棄自判
保険給付に関する決定および保険審査官のした審査決定についての、労働者災害補償保険審査会に対する審査請求が不適法として却下された場合は、右却下決定が正当である以上、右保険給付に関する決定および保険審査官の決定の取消を求める訴は不適法である。