印刷用書体が著作権法二条一項一号にいう著作物に該当するためには、従来の印刷用書体に比して顕著な特徴を有するといった独創性及びそれ自体が美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えていなければならない。
印刷用書体の著作物性
著作権法2条1項1号,著作権法2条2項,著作権法10条1項4号
判旨
印刷用書体が著作権法上の「著作物」に該当するためには、従来の印刷用書体に比して顕著な特徴を有する独創性を備え、かつ、それ自体が美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えていなければならない。
問題の所在(論点)
印刷用書体(タイプフェイス)が著作権法2条1項1号の「著作物」として保護されるための要件、およびその保護の程度。
規範
著作権法2条1項1号の「著作物」といえるためには、①従来の印刷用書体に比して顕著な特徴を有する独創性を備えること、および②それ自体が美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えることを要する。文字の有する情報伝達機能による形態の制約、権利関係の複雑化による混乱、および著作物の公正な利用(出版の自由等)への配慮から、実用的な美しさのみでは足りず、厳格な独創性と美的特性が必要とされる。
重要事実
上告人の制作した印刷用書体(「ゴナU」および「ゴナM」)は、従来のゴシック体を基礎として発展させたものである。「斬新でグラフィカルな感覚のデザイン」を標榜しつつも、「文字本来の機能である美しさ、読みやすさを持ち、奇をてらわない素直な書体」という構想の下に制作され、従来のデザインから大きく外れるものではなかった。
事件番号: 平成4(オ)797 / 裁判年月日: 平成5年3月30日 / 結論: 棄却
詩人の著作物を収録し、生存中にその承諾の下に出版された編集著作物について、詩人以外の者が編集に関与したとしても、収録する詩等の範囲及び掲載順の確定、題名の決定等を詩人自らが行い、関与者は詩人の意向に全面的に従っていたなど判示の事実関係の下においては、関与者に当該編集著作物の編集著作権があるとはいえない。
あてはめ
上告人書体は、従来のゴシック体を基礎とした発展形であり、文字本来の機能(視認性・可読性)を重視した「素直な書体」である。これは従来のデザインの範囲内にとどまるものであって、従来の書体に比して顕著な特徴を有する独創性があるとはいえず、また、それ自体が美術鑑賞の対象となるほどの美的特性を備えているとも認められない。
結論
上告人書体は独創性および美的特性を備えておらず、著作権法上の著作物には当たらない。
実務上の射程
実用的なデザイン(応用美術)の中でも、特に文字という機能的制約の強い印刷用書体については、単なる「創作性」以上の「顕著な独創性」と「美術鑑賞の対象性」という高いハードルを課している点に射程がある。答案上、フォントや書体の著作物性を論じる際は、安易に創作性を認めず、本判例の厳格な二要件を定立してあてはめるべきである。
事件番号: 平成27(受)1876 / 裁判年月日: 平成29年2月28日 / 結論: その他
1 商標法4条1項10号該当を理由とする商標登録の無効審判が請求されないまま商標権の設定登録の日から5年を経過した後においては,当該商標登録が不正競争の目的で受けたものである場合を除き,商標権侵害訴訟の相手方は,その登録商標が同号に該当することによる商標登録の無効理由の存在をもって,同法39条において準用する特許法10…
事件番号: 平成20(受)1427 / 裁判年月日: 平成21年10月23日 / 結論: その他
特別養護老人ホームの入所者に対して虐待行為が行われている旨の新聞記事が同施設の職員からの情報提供等を端緒として掲載されたことにつき,同施設を設置経営する法人が,虐待行為につき複数の目撃供述等が存在していたにもかかわらず,虐待行為はなく上記の情報は虚偽であるとして同職員に対し損害賠償請求訴訟を提起した場合であっても,(1…