同一事件につき後に公訴を受けた裁判所の裁判が最初に公訴を受けた裁判所の裁判より先きに確定したときは、後に確定した裁判は非常上告により破棄免訴を免かれない。
同一の公訴事実につき二個の確定判決があつた場合と非常上告
刑訴法458条1号,刑訴法337条1号
判旨
窃盗と盗品等寄蔵の公訴事実が、犯罪日時、被害物件、所有者等の基本的事実において同一である場合、一方について確定判決があるときは、他方の公訴事実は確定判決を経たものとして免訴すべきである。
問題の所在(論点)
窃盗罪と盗品等寄蔵罪が、基本的事実関係を共通にする場合に「確定判決を経たとき」(刑事訴訟法337条1号)に該当するか。また、後から起訴された裁判が先に確定した場合の既判力の及ぶ範囲が問題となる。
規範
公訴事実の同一性(刑事訴訟法337条1号)は、犯罪の日時、被害物件、所有者等の基本的事実関係が共通しているか否かによって判断される。同一の事件について二重の訴追がなされた場合、後から公訴が提起された事件であっても、判決が先に確定したときには、本案につき審判権を有する裁判所の判決と同様の確定力を生じ、他方の事件については免訴の判決をなさなければならない。
重要事実
被告人は、昭和24年9月1日に他人が窃取した自転車等を保管したとして盗品等寄蔵罪(第一事件)で起訴され、その後、同一の自転車等を同日に共謀の上で窃取したとして窃盗罪(第二事件)で起訴された。第一事件の控訴審判決が確定する前に、後から起訴された第二事件の有罪判決が先に確定した。第一事件の控訴審(東京高裁)は、第二事件の確定を知りながらも第一事件について有罪判決を下した。
事件番号: 昭和23(そ)2 / 裁判年月日: 昭和24年2月8日 / 結論: その他
右連続犯については、その一部について、さきに東京地裁において有罪の判決の言渡があり、その判決の確定したことは前述のとおりであるから、右確定判決の効力は、當然に、その連続犯の他の一部をなす本件犯罪にも及ぶものと云わなければならぬ。されば、本件公訴にかかる犯罪事實については、舊刑事訴訟法第三六三條第一號に從つて兔訴の言渡を…
あてはめ
本件における二つの公訴事実は、窃盗と盗品等寄蔵という異なる罪名ではある。しかし、犯罪の日時、被害物件、及びその所有者等の基本的事実関係を精査すれば、両者は同一の事件を対象としたものと認められる。この場合、後から公訴が提起された窃盗事件の判決が先に確定した以上、その確定力は同一事件である盗品等寄蔵の事実に及ぶ。したがって、東京高裁は、同一事件につき既に確定判決を経たものとして免訴を言い渡すべきであったが、有罪を宣告した点において審判法令に違反する違法がある。
結論
窃盗と盗品等寄蔵の基本的事実が同一である以上、一方の確定判決の効力は他方にも及ぶ。したがって、本件の有罪判決を破棄し、被告人を免訴する。
実務上の射程
公訴事実の同一性が認められる場合、罪名が異なっても(窃盗と盗品関与など)、一方が確定すれば他方は一事不再理効により免訴となることを示した。答案上は、一事不再理効の客観的範囲の判断基準として、基本的事実関係(日時・場所・対象等)の共通性を用いる際の根拠となる。
事件番号: 昭和28(あ)3091 / 裁判年月日: 昭和28年11月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において判決を言い渡すことは、同一の犯罪について重ねて刑事上の責任を問うものではなく、憲法39条後段の二重処罰の禁止に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件について第一審判決を受け、その後控訴審において原判決を維持または変更する判決がなされた。弁護人は、このような控訴審の判決が憲法…
事件番号: 昭和28(さ)2 / 裁判年月日: 昭和28年4月28日 / 結論: 棄却
累犯加重の事由とされた前科に関し、確定判決に事実認定上の違法(審理不尽等)があることを主張し、かつこれを前提として同判決における累犯加重の違法を主張することは、非常上告の理由とならない。