刑訴第四〇五条にいう「判例と相反する判断をした」というためには、その判例と相反する法律判断が原判決に示されているのでなければならない。
刑訴第四〇五条にいう「判例と相反する判断をした」というためには、その判断が原判決に示されていることを要するか
刑訴法405条1項2号,刑訴法405条1項3号
判旨
刑法197条の5(旧197条の4)に規定される賄賂の没収および追徴は必要的であり、裁判所の自由裁量に属するものではないため、これを遺脱した判決は違法である。
問題の所在(論点)
刑法197条の5(旧197条の4)に基づく賄賂の没収・追徴は、裁判所の裁量に委ねられた任意的なものか、あるいは必ず行わなければならない必要なものか。
規範
刑法197条の5(旧197条の4)が規定する収賄罪における賄賂の没収・追徴は、必要的なものである。したがって、収賄の事実を認定した場合には、裁判所はその価額を没収し、または没収不能なときは追徴しなければならず、これを行わないことは裁判所の裁量権を逸脱した違法な判断となる。
重要事実
被告人は収賄罪(刑法197条1項前段)の併合罪に問われた。原審(大阪高裁)は、被告人の有罪を認めながらも、被告人が収受した賄賂(金3万円)について、没収または追徴の言渡しを遺脱したまま判決を言い渡した。これに対し検察官が、必要的没収・追徴の規定に違反するとして上告した事案である。
あてはめ
本件において、被告人が賄賂として金3万円を収受した事実は、原審の確定した事実により明らかである。刑法197条の5(旧197条の4)は賄賂の没収・追徴を必要的と定めている。しかるに、原審は賄賂の収受を認定しながら没収・追徴の判断を欠いており、これは法律上の義務を履行しなかったものといえる。本件の賄賂(金3万円)は現物による没収が不可能な状態であるため、その全額について価額を追徴すべきである。
結論
収賄罪における没収・追徴は必要的であり、これを遺脱した原判決は違法である。原判決を破棄し、被告人を懲役6月に処した上、金3万円を追徴する。
実務上の射程
収賄罪の成立を論じる答案において、刑罰の結論部分(結び)で、没収・追徴の要否について言及する際に用いる。主刑の量刑だけでなく、付加刑としての没収・追徴が義務的であることを示す根拠となる。また、刑事訴訟法上の破棄事由(法令違反)を論じる際の具体例としても有用である。
事件番号: 昭和26(れ)2392 / 裁判年月日: 昭和27年3月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】収受した賄賂そのものが返還されず、生活費等に費消された場合には、後にその金額に相当する額を返還したとしても、依然として追徴を免れない。 第1 事案の概要:被告人は賄賂を収受したが、その現物を返還することなく生活費等に費消した。その後、被告人は費消した賄賂の金額に相当する額を贈賄側に返還した。これに…