供述調書の原本の証拠調後に裁判所の許可を得てその写を提出することは訴訟法に違反しない。
供述調書の原本の証拠調後その写を提出することは違法か
刑訴法305条,刑訴法310条
判旨
憲法37条2項は裁判所に不要な証人の喚問まで義務付けるものではなく、証人申請の却下は直ちに違憲とはならない。また、被告人・弁護人が同意した供述調書を証拠とすることや、原本に基づき証拠調べをした上で写しを記録に添付することは適法である。
問題の所在(論点)
1. 裁判所が被告人側の申請した証人を不必要として却下することは、憲法37条2項(証人審問権)に違反するか。2. 同意した供述調書の証拠採用、および原本を取り調べた後の写しの記録添付は適法か。
規範
1. 憲法37条2項の証人喚問権は、裁判所に対し、被告人側が申請した証人のうち不必要と思われる者まですべて喚問することを義務付けるものではない。2. 被告人及び弁護人が証拠とすることに同意した供述調書を証拠とすることは、刑事訴訟法の規定に反しない。3. 証拠調べの対象が証拠物の原本であれば、裁判所の許可を得て記録にその写しを添付したとしても、手続上の違法はない。
重要事実
被告人AおよびBは、第一審において証人申請を行ったが、裁判所により却下された。また、第一審判決は、被告人および弁護人が証拠とすることに同意した供述調書を証拠として採用した。さらに、第一審では供述調書の原本について証拠調べが行われたが、裁判所の許可を得てその写しが訴訟記録に添付されていた。被告人側は、これらの点について憲法違反および訴訟法違反を主張して上告した。
あてはめ
1. 憲法37条2項は、裁判所に対して「不必要と思われる者」まで喚問する義務を課していないため、本件の証人申請却下は裁判所の裁量の範囲内であり、違憲とはいえない。2. 証拠採用については、記録上、被告人と弁護人の双方から同意が得られていることが明らかであり、伝聞例外の要件を満たす。3. 証拠調べの手続については、実際に原本を対象として行われており、記録の便宜のために写しを添付したに過ぎないため、証拠裁判主義に反する等の違法は認められない。
結論
裁判所による証人申請の却下は憲法37条2項に違反せず、また同意ある供述調書の採用や写しの記録添付も適法である。したがって、本件上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟における証人採用の裁量権と証拠同意の効果を確認した判例である。答案上では、証拠申請の却下が憲法違反となるか否かの論点(証人審問権の限界)において、裁判所の必要性判断による裁量を認める根拠として引用できる。
事件番号: 昭和27(あ)2503 / 裁判年月日: 昭和27年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項の「公平な裁判所」とは、偏頗や不公平のおそれのない組織・構成をもつ裁判所を意味し、被告人による証人尋問請求の却下は同条2項に反しない。 第1 事案の概要:被告人は刑事裁判において証人尋問の申請を行ったが、裁判所は当該証人尋問を必要がないものと認めて却下した。これに対し弁護人は、裁判所…