昭和二五年最高裁規則第三〇号旧刑事訴訟法事件の控訴審及び上告審における審判の特例に関する規則第五条は、違憲でない。
昭和二五年最高裁規則第三〇号第五条の合憲性
昭和25年最高裁規則30号5条
判旨
公判調書の記載に不備があったとしても、その後に審理が更新されている場合には、上告理由となる重大な訴訟手続の法令違反には当たらない。
問題の所在(論点)
公判調書の記載に不備があることが、刑事訴訟法411条にいう「判決に影響を及ぼすべき著しい法令の違反」に該当するか。特に、その後に審理の更新がなされている場合の判断が問題となる。
規範
上告審において訴訟手続の法令違反を理由に原判決を破棄するためには、その違反が判決に影響を及ぼすことが明らか、かつ著しく正義に反すると認められる場合に限られる(刑訴法411条1号参照)。公判調書の記載に不備がある場合であっても、その後の手続において適切に審理が更新されていれば、訴訟手続としての実質的な瑕疵は解消される。
重要事実
被告人Aの第一審第三回公判調書において、弁護人が主張するような記載の不備が存在した。しかし、当該第三回公判は公判期日を変更したのみの内容であり、その後の第四回公判において審理の更新がなされていた。これに対し、被告人側は上告理由として手続の不備を主張した。
あてはめ
本件における第三回公判調書の不備は、単に期日変更に関するものであり、実体的な審理を伴うものではない。さらに、次回の第四回公判において審理の更新が行われていることから、第三回公判における手続上の瑕疵がその後の判決の基礎となる事実認定や法適用に悪影響を及ぼしたとは認められない。したがって、刑訴法405条の上告理由に当たらず、同法411条を適用して職権破棄すべき事情も存在しないといえる。
結論
本件各上告を棄却する。公判調書の不備は、その後の審理更新により、判決に影響を及ぼすべき法令違反とは認められない。
実務上の射程
公判手続の瑕疵(調書の不備や構成員の変更等)があった場合でも、適切に審理が更新されているのであれば、手続の適正は担保されており、上告理由としての重大な法令違反には当たらないという論理を導く際に有用である。
事件番号: 昭和25(れ)1971 / 裁判年月日: 昭和26年5月17日 / 結論: 棄却
刑訴規則施行規則第三条第三号は、日本国憲法第四一条に違反しない。