上告趣意書を差出すべき期間を経過した後に差出された弁護人選任届によつては、その以前に差出された弁護人名義の上告趣意書を追完してその差出を有効とすることができないことは当裁判所の判例とするところである。(昭和二三年(れ)第一二九号、同年六月一二日第二小法廷判決、同年(れ)第四〇二号、同年七月六日第三小法廷決定)。
上告趣意書提出期間経過後弁護届を差出した弁護人の上告趣意書の効力
刑訴法414条,刑訴法376条,刑訴規則252条
判旨
上告趣意書の差出期間内に弁護人選任届が提出されていない場合、期間内に提出された弁護人名義の上告趣意書は無効であり、期間経過後の選任届によってその効力を追完することはできない。
問題の所在(論点)
上告趣意書の差出期間内に提出された弁護人名義の書面について、期間経過後に弁護人選任届が提出された場合、その上告趣意書の差出は有効として追完されるか(刑事訴訟法386条1項1号、414条)。
規範
上告趣意書を差し出すべき期間内に適法な弁護人選任の届出がない場合、当該弁護人名義で提出された上告趣意書は有効なものとは認められない。また、期間経過後に提出された弁護人選任届によって、遡及的に当該上告趣意書の提出を有効とすることも認められない。
重要事実
上告趣意書の差出期間の最終日は昭和26年3月7日であった。原審の弁護人は、同日までに「上告趣意書」と題する書面を最高裁判所に提出した。しかし、被告人による当該弁護人の選任届が実際に提出されたのは、期間経過後の同年3月16日であった。
事件番号: 昭和26(あ)1425 / 裁判年月日: 昭和26年6月26日 / 結論: 棄却
被告人の上告した事件につき、上告趣意書が法定の期間内に原審弁護人から差出されても、その上告審における弁護人選任届の提出が右期間経過後であれば、有効なものとはならない。
あてはめ
本件では、上告趣意書提出の最終日である3月7日時点で、書面を提出した者は当審における有効な弁護権限を有していなかった。3月16日に選任届が提出されたものの、これは差出期間経過後の手続である。判例の趣旨に照らせば、期間徒過後の選任届によって過去の無権限者による書面提出を有効にすることはできないため、期間内に有効な上告趣意書が差し出されなかったものと評価される。
結論
本件上告は、上告趣意書が差出期間内に差し出されなかったものとして、棄却(決定)される。
実務上の射程
刑事訴訟における期間遵守の厳格性と、弁護人選任の届出(刑訴規則17条、18条)が弁護活動の有効性を基礎づける必須の要件であることを示す。実務上、上告趣意書の提出に際しては、期間内に必ず選任届が裁判所に到達していることを確認する必要がある。
事件番号: 昭和26(あ)535 / 裁判年月日: 昭和26年8月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意書提出期間経過後に提出された上告趣意追加申立については、裁判所はこれに対して判断をする必要はない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人が上告趣意書を提出したが、その後、上告趣意書提出期間が経過してから上告趣意追加申立書を裁判所に提出した事案である。 第2 問題の所在(論点):上告趣意書提出期…
事件番号: 昭和26(れ)1250 / 裁判年月日: 昭和26年9月14日 / 結論: 棄却
上告趣意書を差出すべき法廷期間を経過した後に差出された弁護人選任届によつては、その以前に差出された弁護人名義の上告趣意書を追完してその差出を有効とすることができないことは、当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第一二九号、同年六月一二日第二小法廷判決、同年(れ)第四〇二号、同年七月六日第三小法廷決定)。
事件番号: 昭和26(あ)134 / 裁判年月日: 昭和26年9月4日 / 結論: 棄却
弁護人安井源吾提出の上告趣意書(論旨は刑訴四〇五条に該らす、上告適法の理由でない)は、同弁護人の選任に被告人の連署を欠きその選任を有効と認め難いから、受理することを得ない。結局本件上告につき指定期間内に趣意書の提出がないものというべきである。