論旨は営利の観念は専ら専業経営において収益を挙げることを指称するもので一般人が単に利益を図つてなす契約はこれと区別して解すべきであるから物価統制令にいう「営利を目的として」された行為とならないと主張するが物価統制令に「所謂営利を目的として契約を為す」とは利益を得る目的を以て為されたことを意味すると解せられ必ずしも事業経営として収益を図るため為す場合でなければならないということはできない。
物価統制令にいわゆる「営利を目的として契約を為す」の意義
物価統制令11条
判旨
物価統制令にいう「営利を目的として」とは、利益を得る目的をもってなされたことを意味し、必ずしも事業経営として収益を図る場合に限定されない。
問題の所在(論点)
物価統制令違反の構成要件である「営利を目的として」という文言の意義、および事業経営に基づかない一般人の営利目的行為がこれに含まれるか。
規範
物価統制令(本判決当時の規定)における「営利を目的として」契約をなすとは、単に利益を得る目的をもって行為がなされたことを意味する。したがって、それが事業経営として継続的に収益を挙げることを指称する「営利」の観念に限定されるものではなく、一般人が単発的に利益を図る目的でなす契約もこれに含まれる。
重要事実
被告人AおよびBは、共謀の上、物価統制令4条に基づき物価庁告示により指定された統制額を超える価格で売買契約を締結した。被告人側は、本件行為が「事業経営」としての収益を目的としたものではなく、単に利益を図ったに過ぎないため、同令にいう「営利を目的として」なされた行為には当たらないと主張して上告した。
あてはめ
被告人らは、営利の観念を専ら事業経営における収益に限定すべきだと主張するが、同令の趣旨に照らせば、広く「利益を得る目的」があれば足りると解するのが相当である。本件において被告人らが利益を得る目的で統制額を超える契約を締結した事実は原審で認定されており、これが事業経営の一環であるか否かを問わず、同令の構成要件を充足する。また、行為後に告示が廃止され統制額が消滅したとしても、それは刑の廃止には当たらず、行為時の違法性は阻却されない。
結論
被告人らの行為は物価統制令にいう「営利を目的として」なされたものと認められ、同令違反の罪が成立する。
実務上の射程
行政刑罰における「営利の目的」の解釈を示す。事業性や継続性がなくとも、主観的に利得を得る意図があれば足りるとする点で、処罰範囲を広く認める基準として機能する。また、いわゆる「限時法」的側面に関し、統制内容の変更(告示の廃止)が直ちに刑法6条の「刑の廃止」に当たらないとする大法廷判決(昭25.10.11)の法理を再確認している。
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