食糧緊急措置令第一〇條による主要食糧不正受配の事實摘示として米換算による不正受配量の摘示がある以上、必ずしも麺類穀粉等による換算比率まで摘示する必要はない。
米換算による主要食糧不正受配量の摘示と麺類、穀粉等による換算比率摘示の要否
食糧緊急措置令10條,舊刑訴法360條1項
判旨
判決における事実認定に些少な誤算があったとしても、それが犯罪の成否や犯情に影響を及ぼさない程度のものであれば、判決の結論に影響を及ぼすべき違法とはならない。
問題の所在(論点)
事実認定における軽微な誤計算や、証拠資料間の細部の不一致が、判決を破棄すべき「理由不備」または「事実誤認」の違法にあたるか。
規範
判決の基礎となる事実認定において、数値の誤算等の誤りがあったとしても、その誤りが本件犯罪の成否や犯情の判断に実質的な影響を与えない限り、原判決を違法として破棄すべき理由にはならない。
重要事実
被告人が家庭用物資購入集成通帳を配給所に提示し、物資の不正受配を行ったとされる事案である。原判決は複数の者に対する受配合計数量を認定したが、その計算過程において誤算が含まれていた。また、購入通帳と販売原簿の記載内容に相違がある点や、証人証言の評価についても争われた。
あてはめ
本件における受配合計数量の誤算は、認定された各一日の基準配給量や不正受配の事実に照らせば、犯罪の成立を左右するものではなく、かつ犯情の軽重にも影響しない。また、通帳と原簿の記載の相違についても、提示の事実そのものを認定する妨げとはならない。これらは裁判所の自由な証拠評価の範囲内である。
結論
事実認定の細部に誤りがあっても、結論に影響しない限り原判決は維持される。本件上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における事実誤認の主張において、単なる数値の誤りを指摘するだけでは足りず、それが「判決に影響を及ぼすべき」重要な誤りであることを論証する必要があることを示す。理由不備の主張についても、判決が主要な事実を認定している以上、細部まで逐一説示する必要がないことを確認するものである。
事件番号: 昭和28(あ)3516 / 裁判年月日: 昭和30年7月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】食糧緊急措置令違反の罪において、適用法令の部に同令10条のみを掲げ、食糧管理法2条の「その他の政令」等の引用を欠いたとしても、違法ではない。また、犯罪事実の摘示において、証拠により内容が特定され、かつ米換算による合計数量が示されていれば、構成要件の摘示として欠けるところはない。 第1 事案の概要:…
事件番号: 昭和26(れ)1311 / 裁判年月日: 昭和26年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、刑訴法施行法3条の2及び刑訴法411条等の適用に関し、被告人らの上告理由が上告事由に該当せず、職権により判決を破棄すべき顕著な事由も認められないとして、上告を棄却した。 第1 事案の概要:被告人らが原判決(詳細は判決文からは不明)に対して上告を提起した事案である。被告人らは上告趣意を主張…