一 昭和二〇年勅令第五四二号が旧憲法第八条の緊急勅令として法律と同一の効力を有したこと、且つそれが後に国会の承諾を得て引続き今日に至るまで有効に存続してあるものであることは、当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第二七九号同二三年六月二三日大法廷判決)の示す通りである。従つてその委任に基いて制定せられた麻薬取締規則が有効であることも亦、右の判例に徹して明かである。「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」第一条ノ二は右の当然の法理を念のために明らかにしただけであつて、この法律によつて初めて麻薬取締規則が有効とされたのではない。 二 麻薬取締規則第二条は麻薬の種類を定めたものであつて、原判決の判示する本件取引の目的物たる塩酸モルヒネが同条にいう麻薬であることは自明のことである。 三 刑法第四七条の規定は、麻薬取締規則違反に適用がある。
一 昭和二〇年勅令第五四二号の合憲性と麻薬取締規則の合憲性 二 麻薬取締規則第二条の注意と塩酸モルヒネ 三 麻薬取締規則の違反と併合罪の規定の適用
憲法31条,昭和20年勅令542号,大日本帝国憲法8条,麻薬取締規則(昭和21年厚生省令25号),麻薬取締規則(昭和21年厚生省令25号)2条,麻薬取締規則(昭和20年厚生省令25号),刑法47条
判旨
検事の附帯控訴を許容した旧刑訴法の規定は、憲法13条および14条に違反しない。法改正に伴う経過措置により適用関係に差異が生じるとしても、起訴時期を同じくする事件について平等に扱われる限り、法の下の平等に反するものではない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法の改正に際し、経過措置(刑事訴訟法施行法2条)によって旧法の附帯控訴規定が一部の事件にのみ適用され続けることが、憲法13条および14条1項の平等原則に違反するか。
規範
法改正に伴う経過規定により、新旧法の間で特定の訴訟手続(附帯控訴等)の可否に差別が生じる場合であっても、それが起訴の時期を基準とするものであり、かつ起訴の時を同じくする事件について平等の取扱いを受けるものである限り、憲法13条(幸福追求権・適正手続)および14条(法の下の平等)には違反しない。かかる差別は立法政策の合理的な範囲内にあるものと解される。
重要事実
被告人が麻薬取締規則違反等の罪で起訴された事案において、第一審判決後、検事が旧刑事訴訟法399条に基づき附帯控訴を行った。被告人側は、新刑事訴訟法では附帯控訴が禁止されていることを理由に、旧法を適用して附帯控訴を許容した刑事訴訟法施行法2条および旧法規定は、憲法13条・14条に違反し、平等原則に反する無効なものであると主張して上告した。
あてはめ
検事の附帯控訴自体は憲法上禁止されておらず、その存廃は立法政策に委ねられている。法改正の切替時に適用を受ける事件と受けない事件の差別が生じるが、これは「起訴の時」という客観的な基準に基づく区別である。起訴時期を同じくする者との間では平等な取扱いが確保されており、一般に経過規定において共通して生じる性質の差異である。したがって、合理的な理由のない差別とはいえず、適正な手続を逸脱したものとも認められない。
結論
検事の附帯控訴を許容した旧法の規定およびその適用を認める経過規定は、憲法13条・14条に違反しない。したがって、原判決が附帯控訴を有効として下した判断に違憲の違法はない。
実務上の射程
法改正時の経過措置が平等原則に抵触するか否かの判断基準として機能する。起訴時期等の客観的基準に基づき、同一時点の対象者間で平等が保たれている限り、制度移行に伴う差別は合憲とする実務上の準則を示している。
事件番号: 昭和27(あ)1015 / 裁判年月日: 昭和28年10月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条が規定する上告理由の制限は、憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人両名が上告を申し立てた際、弁護人は刑事訴訟法405条が上告理由を不当に制限しており違憲である旨を主張した。これに対し、最高裁判所が同条の憲法適合性について判断を下したものである。 第2 問題の所在(論点):刑…