論旨は原審における被告人に對する公判期日の通知書には廳印もなく裁判長の署名捺印もないから適法な通知書ではなく、從つて原審では公判期日の適法な通知がないことゝなり、かゝる違法の手續を是認した原判決は憲法第三一條違反であるというのであつて、所論は一應憲法第三一條違反を以つて原判決を攻撃しているのであるから、再上告理由として適法おもののようであるが、原審は合憲的な刑事訴訟の手續に從い審判をしたものであることは本件記録上明らかであつて憲法第三一條違反を理由とする論旨は當らない。所論原審の公判期日通知書に形式上の瑕疵があつたとしても、それは單に刑事訴訟法の手續に違背するか否かの問題であつて、憲法違反の問題ではない。それ故これを再上告の適法な理由として認めることはできない。
上告審における被告人に對する公判期日通知書の瑕疵と再上告理由
刑訴應急措置法17條1項,憲法31條,舊刑訴法71條
判旨
公判期日の通知書に庁印や裁判長の署名捺印がないといった形式上の瑕疵があったとしても、それは直ちに憲法31条違反となるものではなく、刑事訴訟法上の手続違背の問題に留まる。
問題の所在(論点)
公判期日通知書に庁印や裁判長の署名捺印を欠く形式上の瑕疵がある場合、当該手続は憲法31条の定める適正手続に違反するか。
規範
適正手続の保障(憲法31条)との関係において、訴訟手続上の書面の形式的不備は、直ちに同条が保障する適正な手続の否定を意味するものではない。書面の形式に瑕疵がある場合は、単なる刑事訴訟法上の手続違背の存否として評価されるべきである。
重要事実
原審の被告人に対する公判期日通知書において、庁印がなく、かつ裁判長の署名捺印も欠けていた。被告人側は、このような通知書は適法な通知ではなく、これに基づき行われた手続を是認した原判決は、適正手続を定めた憲法31条に違反すると主張して再上告した。
あてはめ
本件における通知書の形式的瑕疵は、合憲的な刑事訴訟手続全体の枠組みの中で検討されるべきものである。記録上、原審が合憲的な刑事訴訟手続に従い審判を行ったことが明らかである以上、通知書の形式的不備は単に刑事訴訟法上の手続に違背するかどうかの問題にすぎない。したがって、憲法31条が保障する根本的な適正手続を侵害するものとはいえない。
結論
公判期日通知書の形式的瑕疵は憲法違反の問題ではなく、再上告の適法な理由とはならないため、再上告を棄却する。
実務上の射程
刑事手続における書類の形式的不備について、憲法違反(31条)と法律違反(刑訴法)を峻別する際の基準として用いる。答案上は、手続上の瑕疵が憲法上の権利を実質的に侵害する程度に至らない限り、憲法違反の問題とはならないことを論証する際に引用可能である。
事件番号: 昭和25(あ)2851 / 裁判年月日: 昭和27年5月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審で主張されず、原判決で判断されなかった第一審訴訟手続の訴訟法違背の主張は、憲法31条違反を口実にするものであっても、適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人は第一審において、自己の供述調書(自白)の取調べや、裁判官による被告人質問の手続が行われた。被告人側は、これらの手続に違法が…