一 本件では、昭和二五年二月二四日附の被告人両名に対する原判決書冒頭に「当裁判所は被告人Aについては検事浜田竜信被告人Bについては検事宮崎三郎各関与の上更に審理を遂げ併合して左の通り判決する」と記載され且つ同日における同一公判(判決宣言)期日において同一公判廷に出頭した右被告人両名に対し実際上宣告手続を併合して前示判決書に基き判決の言渡が為されていること記録上明白であるから、たとい特に予め併合決定を為しこれが告知をしなくともその手続が違法であるとはいえない。 二 記録を精査すると被告人と原審相被告人Bの原審公判手続がその第五回以後分離せられ各別に審理の上各別に結審され特に併合決定の告知がないのに両名に対し併合して判決の言渡がなされたことは所論のとおりである。しかし、審判の併合又は分離は、手続の運用に関する便宜措置に過ぎないものでその性質上裁判所が何時でも職権で為し得べき事項に属し且つ旧刑訴法ではこれを禁止し又はこれを為すには決定で為すべき旨命じていないから、必ずしも予めこれが決定を為しこれを被告人に告知することを必要とするものではなく、実際の手続において実現すれば足りるものと解するを相当とする。
一 判決言渡手続の併合と決定の要否 二 旧刑訴法における審判の併合分離は予め決定を為し、被告人に告知することを必要とするか
旧刑訴法50条,旧刑訴法51条,旧刑訴法348条
判旨
審判の併合又は分離は手続の運用に関する便宜措置に過ぎないため、裁判所が職権で自由に行うことができ、予め決定・告知せずとも実際の手続において実現すれば足りる。
問題の所在(論点)
審理が分離された被告人らに対し、予め併合決定を告知することなく併合して判決を言い渡す手続が、刑事訴訟法上違法となるか。
規範
審判の併合又は分離は、刑事訴訟手続の運用における便宜的措置としての性質を有する。したがって、裁判所が職権によって随時行い得る事項であり、特段の禁止規定や決定を要する旨の規定がない限り、予め併合等の決定を被告人に告知することは必須ではない。実際の手続において併合・分離が実現されれば、その手続は適法である。
事件番号: 昭和24(れ)1324 / 裁判年月日: 昭和24年11月10日 / 結論: 棄却
一 數名の強盜犯人が、事前に明示的に強盜することを謀議していた場合ばかりでなく、豫め暗默のうちに強盜をすることを互ひに了解していた場合であつても、又できることなら窃盜だけに止め、止むを得ないときは強盜をする旨打合せていた場合であつてもなお共謀の上強盜をなしたものといい得るのである。 二 舊刑訴法の下では檢察官が公訴を提…
重要事実
被告人Aおよび相被告人Bの公判手続において、第5回以降は審理が分離され、各別に審理・結審が行われた。その後、裁判所は特段の併合決定を告知することなく、両名に対し併合して判決の言い渡しを行った。判決書の冒頭には併合して判決する旨の記載があり、実際の判決宣告期日においても、同一の公判廷に出頭した両名に対し、併合して判決が言い渡された。
あてはめ
本件における審判の併合は、手続の運用上の便宜として行われたものである。判決書には「併合して左の通り判決する」と明記されており、実際の宣告期日においても被告人両名が立ち会う中で併合して言い渡しがなされている。このように実際の手続において併合が実現されている以上、事前の決定や告知という形式的段階を踏まずとも、手続上の違法があるとはいえない。
結論
審判の併合・分離に際して事前の決定・告知は不要であり、判決宣告時に実際の手続として併合されていれば適法である。
実務上の射程
手続の分離・併合に関する裁判所の裁量を広く認めた判例である。実務上、審理効率や被告人間の公平を考慮して分離・併合が頻繁に行われるが、本判例の論理によれば、最終的に判決時に一体として処理される実態があれば、手続的瑕疵は問われない。ただし、現在の刑事訴訟法・規則下では手続透明性の観点から決定の告知が通例であり、本判例は「決定・告知がないことのみをもって直ちに違法とはならない」という限界事例を示すものとして理解すべきである。
事件番号: 昭和24(れ)1843 / 裁判年月日: 昭和24年9月20日 / 結論: 棄却
刑法第六六條により犯罪の情状憫諒すべきものとして酌量減輕を爲す場合は、酌量減輕を爲すに至つた判斷理由を判決に示す必要なきものであること當裁判所の判例とするところである。(昭和二三年(れ)第四〇八號、同年七月六日第三小法廷判決)
事件番号: 昭和24(れ)2214 / 裁判年月日: 昭和25年2月17日 / 結論: 棄却
一 所論公訴棄却の判決は、その公訴にかゝる強盜の事實については既にそれと連續犯の關係にある窃盜の事實について別に公訴が提起せられてあつたがために、一個の連續犯に對して重ねて公訴を提起することは、許されないとの理由によつてその公訴自体を不適法として棄却したものであつて、その公訴にかゝる強盜の事實について何ら、實質上の審判…