被告人の自白の外に相被告人の供述を補張證據とした場合には憲法第三八條第三項に違反しないことは既に當裁判所屡次の判例(昭和二二年(れ)第一一八號同二三年七月七日大法廷判決、昭和二三年(れ)第一一二號同年七月一四日大法廷判決等)とするところであつて、今これを變更するの必要を認めないのみならず刑訴法第三一九條第二項の解釋においてもその理を異にしない。
相被告人の供述を補強證據とした場合と刑訴法第三一九條第二項
刑訴法319條2項,憲法38條3項
判旨
被告人の自白のみによって有罪とされることを禁ずる自白の補強法則(憲法38条3項、刑訴法319条2項)において、共犯者の供述は被告人の自白に対する補強証拠となり得る。
問題の所在(論点)
被告人の自白に加え、共犯者(相被告人)の供述のみを補強証拠として犯罪事実を認定することは、憲法38条3項及び刑訴法319条2項の「自白のみ」による処罰の禁止に抵触するか。
規範
憲法38条3項及び刑訴法319条2項は、被告人の自白のみによる有罪判決を禁止しているが、相被告人(共犯者)の供述は、当該被告人の自白と独立した証拠としての価値を有し、これを補強証拠とすることができる。
重要事実
被告人A、B、Cらは金員の授受に関わる犯罪事実について起訴された。原審は、被告人らの第一審公判における供述(自白)や捜査段階での供述調書に加え、互いの供述(相被告人の供述)を証拠として事実を認定した。これに対し、被告人側は、自己の自白と相被告人の自白のみで有罪とすることは自白の補強法則に反すると主張して上告した。
事件番号: 昭和25(あ)2673 / 裁判年月日: 昭和26年10月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法38条3項及び刑訴法319条2項にいう「自白」とは、犯罪事実の全部を認める場合に限られず、客観的な犯罪構成要件に該当する事実の一部であっても、自白のみを唯一の証拠として有罪とすることはできない。 第1 事案の概要:被告人A及びBは、それぞれ有罪の判決を受けた。第一審判決は、両被告人の自白を証拠…
あてはめ
憲法38条3項の趣旨は、自白の偏重による誤判や拷問の防止にある。相被告人の供述は、被告人自身の供述とは独立した他人の供述であるから、これが虚偽でないことを担保する他の証拠が存在するのと同様、証拠価値を認めることができる。したがって、被告人自身の自白に加え、相被告人の供述が証拠として存在する場合には、もはや「自白のみ」によって処罰される場合に当たらない。原判決が第一審公判調書や検察官等の供述調書中の各被告人の供述を総合して事実を認定した手法は、これらの法理に適合する。
結論
共犯者の供述は被告人の自白に対する補強証拠となり得るため、憲法38条3項及び刑訴法319条2項に違反しない。したがって、上告を棄却する。
実務上の射程
共犯者の自白(供述)に補強証拠としての適格を認めるのが判例の確立した立場である。答案上では、共犯者の自白に補強証拠としての資格を認めるか否かの論点において、本判例を根拠に肯定説を採り、反対説(共犯者の自白は被告人の自白と同質であり、補強証拠にはならないとする説)を排斥する形で使用する。
事件番号: 昭和41(あ)496 / 裁判年月日: 昭和41年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者の自白は、他の共同被告人に対する犯罪事実の認定において、憲法38条3項にいう補強証拠となり得る。第三者にあたる相被告人の供述調書が、被告人の自白を補強する十分な証拠であると認められる以上、自白のみによる処罰には当たらない。 第1 事案の概要:被告人Aが被告人Cに対し、金15万円を供与・受供与…